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サヤがこの街を去った。
旅人は。住む街を見つけるとかでなく、旅する理由のある旅人は。
いっとき、どこかに留まっても、やはりいつか、旅を再開するものだ。
魔女に奪われた名前を取り戻す為の旅だという。
遠く北の地へ一人で向かう厳しい旅。
単なる同情によっては同行する事も出来ないような。
俺とは決して意気投合したような仲ではなかったけれど、それも笑い合えるような別れ方が出来た事は良かったと思う。
旅が終わってまた会う事が出来、話す機会があれば良い、餞別は、気の利いた物を渡せなかったが。
セシリアはサヤとの別れを大層惜しんでいた。
やはり素直に正直に生きているなと感じるし、その真っ直ぐな気持ちを向けられて、サヤも少しばかりの間、本当に近い自分を見せていたように思う。
教会の面々には色々と世話になっていたようで、篤い見送りを受けていた。
ロン君も、似た種族故に持つ親近感もあったのだろう、実に寂しがっていたけれど…サヤとまた会えるよう、街を元気付けていく事を誓っていたようだ。
このように思ってくれる人達が居る街だという事を分かる。
無為に自分が一人だと思うことはなくなってしまう。
誰かが居ないことで大きくは変わらなくても、みんな居なければ寂しい。
そういうものだろう。
夢を見た。
過去をやり直す夢。
もし今の俺が過去をやり直すことが出来れば、きっと上手くいくと思っていた。
ネージュに出会った、何となく、見つけてもらってばかりのような気がする。今度はきっと見つけてやろうとは思うが。
俺が気まずそうにしていたり、過去の事で思い悩みそうになったとき、率先して明るく振舞ってくれる。
実際にはネージュだって気まずく、重ためな空気の煽りを喰っているのに。
…。
そんな事を言わなくても、火を見るより明らかで、ネージュだって、本当は分かっているのだ。
俺はいっそ懺悔したい様な気持ちになって、洗いざらいぶちまけてしまいたかった、「仕返し」のように、自分の言を押し通したかった。
だけれど、どうして出来るだろうか、そんな事が。
俺はネージュの手を寝ぼけて掴んでしまったときでさえ、触れてはならない物に触れてしまったような気持ちになったくらいなのだ。
これは当然、他と同じように扱う事が出来ていないという事なのだけれど…どうしようもなく、目を背けてしまう。
王子様…改め、セシリアとも話をした。
主に「ナイトハンター」について話をしたが、セシリアはカッコイイ。
芯が通っていて、素直だ。
取り繕いが無く考えが明確、美しい、刃を思わせる。
そんな人に背中を押されるような言葉を掛けられて、自信が出ない者は居ないだろう。
ただ、何だか、俺とネージュだけをとっても対応にそれなりの差があるような…。
ネージュに対しては、あまり見られない笑みを向けていたし。
ネージュとセシリア、二人が普段、パジャマで眠っている事が判明した。
喜んで欲しい。
そうと聞いたその日からパジャマパーティ妄想が止まら―
………
……
…
いいじゃないか!考えるくらい!!
だって、見られないんだぞ!俺は!
…つい、怒られてもいないのに逆ギレしてしまうくらい、そりゃ、ネージュのパジャマ姿は可愛いだろうし、セシリアは普段とのギャップが素晴らしいだろうというのもあり―
じゃなくて!今日はそんな感じで終わりだ。
ナイトハンターの更なる情報を求めて、イストーリヤ私立図書館を訪れた。
学院の教授に尋ねてみるも、生徒でも自警団でもなく個人的な付き合いの無い人間に対して積極的に助力して貰えるものでも無かった。
(話を聞いてもらえただけでも優しいと思う。)
新たに分かった事としては、ナイトハンターは3つの形態取るということだ。
不定形と陰だけだと思っていたので、足元を掬われるところだった。
さて、この図書館で本を探しているとき、リフェリスに会った。
ハロウィンの時期にお菓子を配っていたのを遠くから見たのを除けば、久しぶりと言っても良かったか。
いつの間にか(元からなのかも知れないが)悪戯に目覚めていて、その内なるSっ気(本人曰く「悪戯っ子」らしい)を存分に発揮しているようだった。
おっとりした悪戯っ子だ……悪戯をしても逃げるのが非常に遅そうだ。(逃げなきゃいけないような悪戯はしないのか?そう考えると安心出来た。ヨハネの事もある)
流され易そうだし…。
リフェリスが心配してしまう事に気付かず、途中まで淡々と事実を述べてしまったのは悪い癖か。
だが、友達と言えど二度ほどしか会った事の無い相手を心配してくれるというのは、中々有難い事だった。
無事じゃなかったらバインアップル(リフェリスは気にしているようだ…)を食わせる。と言うので、ボロボロにされた挙句そんな気持ち悪い目に遭いたくない僕は
「無事だったらご褒美」にしてくれ、と図々しくもお願いしてみた。
しかし、悪戯はするものの人に褒美などとは思わなかったのか、考え付かないようだったので「リフェリスの得意なことを披露してくれる」というのはどうだと尋ねた
ら、これもまた考え付かないようだったが、ようやく、「歌」という事に落ち着いた。
歌を聞かせて貰える、というのはとても嬉しい事だ、非常に楽しみとなり、ナイトハンターを追う元気が出てきた。
正直に言えば、つらいところだったのだ。
サヤならばどうすると問いたい程に。(サヤはこの件で俺と同じように思い煩う事は無いので、問うても仕方のない事なのだが、そう思うくらいには困窮しているということだ。一人でどうする、どのようにする?対策もまだ分からない。)
具体的な助けがなくとも、俺の理解者とならなくても、ただ明るく接してもらえるだけで自然と助かっている。
今日は酷い雨だったので、昨日に続いて調べ物をしていた。
郊外で人が襲われる危険はあったが、この雨では出歩く者も少ないだろう。
見て回るには効率が悪すぎる日、調査の方が有効と考える。
そこでライターの人(名前なんだっけ?)と話した折、「ダァリン」こと「ナイトハンター」の棲む地方の伝承、民俗について調べてみてはと聞いた。
魔物図鑑には大した情報が載っていなかったので、新たな取っ掛かりになるかも知れない。
だが、これは図鑑を捲るより時間が掛かりそうで、明日以降にやるしかなかった。
目的、魔物の正体、少女の背格好、香り…情報が出揃ってきた、自警団にも報告して良い頃合だろう。
(ただ、オレンジの花の香りの少女が居たら職務質問してくれる、という何とも言えない協力となるのは分かっているが…仕方がない。)
それに、あまり大っぴらにしても他所に逃げる日が早まるだけだ。
街を出る前の獲物を探している今が、最後のチャンスなのだが……。
サヤとは、ヤサの話をして、サヤがフランソワさんから受けた依頼の話をして…「ナイトハンター」の件に手を貸してくれるように頼んだ。
いや、頼んだ「つもり」だったのか。
結果として、サヤを「仕事仲間」としても「雇い主」としても口説き落とすことが出来なかった。
サヤの「自由意志」を動かすことが出来なかった理由が、分からなかったからだろう。
推測ではあるが、サヤは仕事の内容を一切問わなかったこともあり
・サヤでなければならない理由を納得させる
・ただ単に助けを求める
どちらかでも行っていれば、きっと協力してくれたのではないかと思う。
俺はそのことに気付かず(気付かない中では必死にやった)、最後に与えられたチャンスもふいにした。
拘りを見せ、熱心に口説く事も出来なければ、ヤサのように純粋に助けを求める事もしなかった。
女の口説き方も知らないだって、言い得て妙だ。
既視感だ、こんなことは。
俺はつまらない男になったかも知れないが、こういう事は、もう間違わなくなったと、思い込んでいた。
けど、そうではなくて、あの時と同じような失敗を、未だに繰り返している。
近づくのが怖いわけだ、通りで。
………
……
…
あの日も、こんな季節だった。
自警団への通報、噂の流布。
どちらも「次の獲物を街中で探し難くなれば良いな」という位のことだが、行えば幾らか気が済んだ。
これで、彼女が次に狙う獲物を絞れれば良いのだが……。
平行して、あの「ダァリン」の弱点を見つけようと学院の図書館へと向かった。
よくあるような魔物でない可能性もあったが……他に探る手立ても思い浮かばなかった。
そんな中、リッリ君と知り合いになった。
リッリ君はブカブカの靴を履いた金髪の男の子で、オルガンを弾くのが得意なようだ。
オルガンの手引書のようなものを借りていって、オルガンに触れないときはそれで勉強するようだ。
可愛い名前の、素直そうな良い子だ。
話していると、とてもオルガンが好きなのが伝わってきて…久しぶりに鍵盤に指を置きたくなってきた。
折をみて、また教会に遊びに行こう。
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