[PR]
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
広場にミカから「メンバー」宛てのメッセージが残されていた。
ミカの言う「メンバー」とは、恐らく療養院での話のことに違いが無い。
だが、「青い鳥」とは?
俺も青い鳥の召喚獣を持つが、その事ではないだろう。
青い鳥と聞いてピンと来るメンバーも居ないとすれば、何かの暗号か…
その事について考えようと酒場に寄ったところ、同業者のシナンビィが居たので雑談。
食べ物の話、最近の事件の話、武器の話…。
シナンビィは気さくな男で話が弾んだが、どこか少し曖昧なところのある男のように思えた。
武器に命を預けたことが無いなど…彼の大剣についた装飾のように、単なる飾りの話をしている風にも聞こえた。
武器の事、孤児院に送金している事、宝についての考え方。
とはいえ、人の事情は様々だ、彼なりの思いがあるのかも知れない。
今回程度の会話では、想像するにも頼りないものだ。
妙に活きのいいピザをシナンビィが食べるのを見て別れた。
(そのピザに乗っていたエビ魚は見たことのない生物だったが、毒が無い事を祈る)
青い鳥についての心当たりへ手紙を送ったが、ミカから連絡が来ていた。
タイミングとして擦れ違いになったが、用事もあったので無駄にはならなかった。
ジェイ…
………
……
…
こうなったのなら、私情を挟むべきではない。
桜も見頃の時期だが、雨は冷たかった。
黒猫の使い魔というのが気になって。
雨の日ならば普通の猫とも区別が付きやすいかと思い、調べた。
思ったよりもこの街に野良猫と言うものは多くて、黒猫もやはり。
診療所などを回りそろそろ探すところも無くなってきたころ、路地裏でようやく、その尻尾を掴んだ。
路地裏の巨大壁に貼られた張り紙が燃やされたとき、近くにいた黒猫が療養院のときのように形を変え、何処かへ向かおうとした。
それを紫の髪の男(ワイヤーを用い、背格好は俺と似ていた)とヨハネが追い、俺は偶然にも見つけた使い魔の持ち主と思しき人影へと向かった。
その人影こそは、使い魔を操っている張本人のようだったが…。
黒猫と同じく真っ黒なシルエットで像ははっきりとせず、実体を持たないようだった。
使い魔を操る方法も、指をさす、顔を向ける、など。
更には、その人影に触れると魔力を奪われた。
この人影そのものが、魔法の一部であるような…。
使い魔と違って僅かに「人間臭さ」はあったが、更に奥に術者が居るのだろうか。
突然その人影は弾けて消えたが、それはどうやら使い魔を破壊したせい?のようだ。
向こうは向こう、こっちはこっちで掛かりきりだったせいだが…使い魔に掛かっていた紫の髪の男もヨハネもその場から去っており詳しい事情は聞けなかった。
倒したのだろうか?手応えがあったとは言えないが…街から野良猫の姿が減り、張り紙も未だ貼り直されていない。
使い魔、人影と亜人狩りとの関係性は証明されたようなものだが、その他の謎はまだ多く残っている。
個人所有のものらしい療養院で、亜人狩りへの対策を話し合っている集団が居たので話に混ぜて貰う。
途中、何者かの使い魔(盗聴目的?)が結界に引っ掛かり一騒動となった。
この使い魔だが、黒猫や球と体の形を変える事が出来るようだ。
ひょっとすると色々なところが既に見張られているのかも知れないが…一体誰が?
此の集団を纏めているのはバレットさんのようだ。
換金目的と見せかけ亜人狩りの依頼側と接触し、これを拿捕する…というような作戦だ。
向こうがこれを警戒していなければ効果のある作戦だろうが…果たして。
成果が挙がるかどうかは別にしても、失敗のリスクを抑える努力は十分してくれそうに思える。
周囲に潜む人数は最小限にしたいところだが…
情報収集も積極的に行っているようだ、やはり資本の力は大きいな。
ブラッキーさんと接触できたのは運が良かった。
向こうにはまだジュリエッタさんからの連絡が行っていないらしく、僕の事は知らなかったようだけれど。
攻撃的な意味で補助系の魔法使いなのだろうこと、バレット今回の事件についても積極的に情報を集めている(海辺で遭った便乗犯…ジェイと言うらしい…についても知っていた)ようだということが分かった。
コタロウの事も気にかけてくれそうなのは、嬉しい事だ。
そのコタロウだが、酷い火傷を含む怪我をしていた。
チヨさんに「無茶しそうだったら止めて」と言われ、次に会ったときにはコレでした、というのは少し情けないと言うか何と言うか…。
無事で、ある程度元気そうなのは良かったのだが。
それでもコタロウの闘志は全く衰えていないどころか、怪我を無理にでも治して犯人追求に体を張ろうとしているようだ。
無茶が過ぎる。
チヨさんは全く、心配性でも杞憂でもお節介でも何でもなく、そのままの事を言っていたんだなあ…と思うばかり。
この作戦に俺が参加する最大の意義は、此処にありそうだ…。
ヨハネも居たが、ドタバタして話どころでは無かった。
コタロウの怪我を心配している様子があり、仲が良さそうなのはとても良い事だった。
セシリアも一部ではあるが深い傷を負っていた。
こんな傷でも、俺がセシリアに傷を負わせた相手を取り逃したと知っても、先ず他人の心配をする。
改めて依頼対象として間違っていなかったと認識した。(依頼は取り下げざるを得なかったが)
やはりジェイを逃してはいけなかった。
もし、取り返しのつかないことになってしまっていたら…。
怪我の治療の関係で診療所を訪れたら、色々とタイミングが良かったり悪かったりしたようだ。
ベリアが何の用事か来ていた(情報収集だろうか?)。
最近は目立って名前を聞くことは少ないが…、何やらジュリエッタさんとは良好な関係を築いているようであった。
力になるとかなんとか言っていた。亜人狩りについて幾らか思うところがあるのだろうか?
「力を示す」チャンスでもあるだろうに。
先生。(なんかうっかりそのときの日記を書き損ねているが)学院の図書館で肩車をした先生だ。ユニウスと呼ばれていた。
ジュリエッタさんと話していたが、ミカと親しいようだった。(彼には丁寧語ではなかった)
同僚のお見舞いだかに来たらしい。
ジュリエッタさんを励ます姿は先生らしく思い、ミカを心配する姿はこの人らしいと思うことだった。
そのミカ、彼と会うのは新年明けてすぐと数える程だが、その(良い意味での)馴れ馴れしさというか人の懐に直ぐ入るスキルにより…かなり以前からの付き合いのように感じてしまう。
(知り合いレベルの心の壁なんて、やはりそんなものだ。きっかけ一つというか。親しくすれば親しくされる。与えれば与えられる。)
今日は怪我人仲間だった。
昨日、俺が海辺で亜人狩りの男と遭遇していたように。
ミカとジュリエッタさん(他にも何人か居たようだが)は森の奥の泉で亜人狩りの者達と遭遇していたようだ。
そのとき、怪我の件でジュリエッタさんと一悶着中らしく、俺はやりとりを眺めていた。
(お前の仕事の成果だ~の件には少し感心したりしながら。)
どうもジュリエッタさんは、ミカが無茶をして自分や周囲の命を危険に晒した事を叱ると同時、(無理するに至る気持ちを尊重したくもあり)カバーし切れなかった自分を責めているようだった。
上手にやれば、皆でやれば上手く行く…願いを叶え命を守る事が出来るだろう…そう思っているから、上手く行かないとつらく、無力感があるのだろう。
―見送る為にこの街に留まっているんじゃない。
ああ、この人が昨日の俺のような状況に陥ったら。
敵わないと感じたとしても、きっと命を賭けてしまうだろう。
人の為に泣くことができ、命を賭けられる人なのかなあ。
そう思うと涙も出てきたが、これはやはり自分の為の涙だなと感じて恥ずかしかった。(泣いてしまっていたのもあり、背を向けてしまっていた)
ミカはそれに対して大層謝っていて、再びジュリエッタさんに同じ思いをさせないようにすると言った。
そして更に俺を心配する余裕があったのだから驚きだ、変化に、心の内にあるものに気付き、話を聞いてやると、二度三度しか会ってない者にそうそう言える事ではなく…。
かといって土足で踏み込んでは来ないところを弁えている。
こういう男に、俺もなりたいなと思った。
ジュリエッタさんだが、泉での件、新聞で名前が売れてしまい…実はエルフとの混血であったらしく、命を狙われる危険が出て来たとの事だった。
それも、泉で相対したのは一連の事件と深い関わりがあると目されているクランの者らしいので尚更…クランぐるみでの報復の可能性は考えられて。
どこかへ身を隠すという話になったが、俺はジュリエッタさんにハッキリと所在を聞いておくことに決めた。(お兄さん(いたのか!)を頼ってみるとのことだが)
それが「願いを叶え命を守る」事に繋がるだろうと思った。
自分の事だからと、遠慮されなくて本当に嬉しい事ではあったが、やはり此の人に頼られる資格は無いと思ってしまう。
昨日の事を乗り越えない限りはと…。
方や万全を喫するように言いながら、方や先ほどミカが叱られていたような無茶をしようとする。
とんだ二枚舌だ。
……とんだ二枚舌なのだ。
ワイゼットという自警団員が、ジュリエッタさんの状況に警鐘を鳴らしてくれた。
ぶっきらぼうで愛想が無く、口も特別綺麗な方ではない。
けれど悪を憎み、市民を心配する心は自警団員に相応しい程のものを持っているように思えた。
黒子はニンジャ…じゃなかった、新聞屋で泉での件の記事を書いたのは彼女のようだ。
新聞屋のイメージそのままのような様子で(見た目はニンジャのイメージそのままなのに…)、何処にでも現れそうだった。
情報収集能力は高いようだが…。
アウトレイジェスについて聞いてみるのも良いかも知れない。
チヨさんも丁度診療所に来ていて、亜人狩りについて酷く心を痛めているようだった。
コタロウとは親しいようで、怪我の心配をしていた。
無茶するようなら止めてくれと頼まれる。例の変態以外にも出会っていたなんて、行動力があり運も良いと感じる。
帰り際、東洋系の顔立ちの青年にも出会ったが挨拶だけして擦れ違った。
泉に居たメンバーの一人のようだったが時間が無く。
此方の名は伝えておいたし、同じ依頼を請けたり亜人狩りで居合わせる事もあるかも知れない。
海辺で、亜人狩りを行っているという男に出会った。
身なりはある程度整っていて、背格好も、顔つきも、特徴と言えるようなものは無い。
黙っているところを人混みに紛れさせれば、見つけるのが困難な程…だが、一度口を開かせれば、その「普通さ」が、却って異様だった。
亜人を、バラバラにして、海に持っていかれてしまったらしい。
勿論戦闘となった。
証拠と言う程のものは無かったが、確信はあったから先に攻撃を仕掛けた。
だが男は武器を召喚する力を持ち、類稀な…と言うには異質な身体能力を持っていた。
それは「人であって人で非ざる」と形容すべき異質さ。
人に化けた魔物と言われれば信じてしまうような……。
一人では…敵わなかった。敵わないと本能的に悟ってしまいそうだった。
背に刃物を突きつけられて、勇気も希望も、意志も意地も覚悟も…何も無かった。
ただその場を切り抜ける為に嘘を吐いた。去りゆく背を見送った。
放っておけば、被害が増えるだろうと、分かっているのに。
自分の命、大事さに……。
戦士としてどうしようもなく、二度と(一度もなったことは無いが)英雄にはなれないだろうと思った。
普段やっているような「まだその時ではない」とか、そういうのとは違う。「今」「ここで」倒しておくべき相手だったのに。
他人の為に命を賭けようとも、卑劣さを呑み込んで目的を遂げるようともしなかった。
心底、自分に落胆した。
極限状態では、その者の本当の人間性が出るとはよく言われる事だ。
俺の人間性とは所詮こんなものなのか。
落胆をしても、何をしているんだと思っても、のた打ち回る程苦しくは無い。
冷静に、自警団と病院へ向かっている。
その自分の姿を思いながら、どうせ世の中こんなものだ、これでも別に良いのだと、諦めの感情が湧いた。
そして、嘘のツケは回ってくるかも知れない。
もし、そのツケをどのような形でか払わざるを得なくなったら…。
俺はそれから逃げずに居られるのだろうか。
04 | 2025/05 | 06 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | ||||
4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 |
18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 |
25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |