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海辺で、亜人狩りを行っているという男に出会った。
身なりはある程度整っていて、背格好も、顔つきも、特徴と言えるようなものは無い。
黙っているところを人混みに紛れさせれば、見つけるのが困難な程…だが、一度口を開かせれば、その「普通さ」が、却って異様だった。
亜人を、バラバラにして、海に持っていかれてしまったらしい。
勿論戦闘となった。
証拠と言う程のものは無かったが、確信はあったから先に攻撃を仕掛けた。
だが男は武器を召喚する力を持ち、類稀な…と言うには異質な身体能力を持っていた。
それは「人であって人で非ざる」と形容すべき異質さ。
人に化けた魔物と言われれば信じてしまうような……。
一人では…敵わなかった。敵わないと本能的に悟ってしまいそうだった。
背に刃物を突きつけられて、勇気も希望も、意志も意地も覚悟も…何も無かった。
ただその場を切り抜ける為に嘘を吐いた。去りゆく背を見送った。
放っておけば、被害が増えるだろうと、分かっているのに。
自分の命、大事さに……。
戦士としてどうしようもなく、二度と(一度もなったことは無いが)英雄にはなれないだろうと思った。
普段やっているような「まだその時ではない」とか、そういうのとは違う。「今」「ここで」倒しておくべき相手だったのに。
他人の為に命を賭けようとも、卑劣さを呑み込んで目的を遂げるようともしなかった。
心底、自分に落胆した。
極限状態では、その者の本当の人間性が出るとはよく言われる事だ。
俺の人間性とは所詮こんなものなのか。
落胆をしても、何をしているんだと思っても、のた打ち回る程苦しくは無い。
冷静に、自警団と病院へ向かっている。
その自分の姿を思いながら、どうせ世の中こんなものだ、これでも別に良いのだと、諦めの感情が湧いた。
そして、嘘のツケは回ってくるかも知れない。
もし、そのツケをどのような形でか払わざるを得なくなったら…。
俺はそれから逃げずに居られるのだろうか。
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