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この日は森で修練をしていたが、その後現れた野生の馬、いやウマ、違うU↑m……うっ、頭が……
俺はこの日からずっと、カスタードクリームを使ったお菓子を口にできないでいる。
オールド13と言うチンピラに関することで、自警団詰所内で公開の会議が開かれていたため、参加をした。
ファルベリア(ヴァイス)がその会議の司会をしていたというか、彼女が開いたのだろう。
(見張りの目的以外での)自警団員参加者も居り、ハッキリとした意見を言う様子には少し安心を憶えた。
それだけ、ファルベリアが自警団内で信用されてきたということなのだから。
話を聞けば。
オールド13相手だけのことでなく、海賊そのものや居合わせたベリアに対する言葉を聞けば。
ファルベリアがどれだけ悪を許さず、市民のことを考えているかは伝わってくる。
まさに現場のデカ(というらしい)と言った感じ。
それ故に制度や上の人との対立はありそうだが……悪を追わせてこれだけ頼りになる者も少ないだろう。
悪人への処罰、住民への安心感、そして犯罪の根本を絶つこと(オールド13だけのことでなく、海賊団そのものをどうにかしようという様子が見られた)。
きっと、他の自警団員にも伝わっていくことだろう。
同様に、会議に出ていたギルバート。
オールド13のことも、言ってしまえばチンピラが騒いだだけのことではあるが、そういった事件にも真剣に取り組んでいるようだった。
物事の1つ1つに「それでいいのか?」という疑問を持つ様子は、防犯組織の一員として、とても好ましいものを感じる。
ファルベリア、サリアさん、ギルバート……皆、現場のデカだけれどそれぞれ違っている。
それぞれの正義があり、悪に対する姿勢が違う。
皮肉なことに、悪に多く接したり、自らが悪足りえる行いをすることで人は悪を理解していく。
誅す、滅す、処理する、赦す。
ギルバートは一体どうするようになるだろう、彼はきっと俺のことなど気にしては居ないだろうが、俺からすればちょっとしたライバルだ。
彼なりの答えが出ることを、楽しみにしてしまっている。
最近はめっきり雑貨屋のおねえちゃんとなっているベリアも顔を見せた。
今の期間、サンタの格好をしてチョコを配っているなんて、とっても雑貨屋のおねえちゃんである。
しかしうっかり発言は相変わらずのようで、ちょっと睨まれてしまっていた。
ともあれ、チョコを貰って悪い気もしないし、格好を付け過ぎなければきっとすぐに街の人達も受け容れて貰えると思うのだが……色々と、まだ考えが変わりきらないところもあるのだろう。
そういう風に育ったのだろうから、もう少し、時間がきっと解決してくれると思う。
ギガトールさんも自警団にケーキの差し入れをしてくれていた。
この日はお菓子を2つも貰えて、会議に参加していてラッキーだ。
六花の神殿で修練をしていたところ、パルティータさんが訪れて少し話をした。
パルティータさんは魔法で寒さを凌いでおり、というか凌いでいるという形容詞は相応しくない。それこそ、パルティータさんの周囲だけは常に一定の気温に保たれているといった感じだ。
彼女が杖を一振りすると(これは単なるポーズで魔法の発動とは関係ないらしいが)、俺の手の回りの空気が暖かくなり、此れを常に自分の周囲で行っているのだろうと。
でも、だからと言って年中同じ季節感で居るのはなんとも「見ている方が寒そう」という言葉がピッタリで、長生きのし過ぎで季節というものにも飽きてしまったのかなあ、なんて思うことだった。
(着飾って歩くような歳でもないなんて言っていたが)
そんなパルティータさんへ季節感というものを身に沁みさせてやろうと、この寒さにも関わらず露わな首筋に冷たい手アタックを成功させたのだが……
さすがは着飾って歩くような歳でもないだけあり。
もーっ! という可愛い鳴き声どころか、ゴゴゴゴと怨嗟渦巻く氷の宴の音が響いたのだった。
パルティータさんは氷を扱う魔法というよりも、物質を変性させる魔法を使うとのことだった。
要は水を氷や水蒸気に変えてしまえるということなのだけれど、それだけでなく同じ素から出来ているものであれば全く別物にすることも出来てしまうようだ。
実際、パルティータさんが俺に冷たい手アタックを返してきたときの手には水よりも何倍も冷たい液体を作っていた。
これはえーと……何と言えば良いのか、人間を水とお肉と骨とかに分解しちゃって、それを素に犬を作るみたいなとんでもない魔法だ。(さすがに此処まで精緻なことは出来ないとは思う。パンをクッキーにするくらいか?いい例えが浮かばない)
しかしそれは、錬金術と言っても過言ではないほどの術であることは間違いない。
パルティータさんの故郷では割りと普通の魔法なのか、凄いだろうという気配は無かったものの、俺は内心非常に驚いていたことだ。
その後は、ペア探しについての話をした。
パートナーに求める条件。パルティータさんはまだ誰とペアを組むべきか、実際に組めるものなのかと少し悩んでいるようだったが、俺は俺の求めるものをアピールした。
もしかすれば、パルティータさんが"その気"になってくれるかも知れないと思ったからだ、実力的には恐らく申し分ないどころか、そこを見れば此方から頭を下げても間に合うか分からない。
しかし渾身アピールした(つもりの)俺に返って来たのは「凄いなあ、私とは違うけど」というような眼だった。
違うけれど面白そうだ。久しぶりに熱くなってみるのも悪くないかも知れない。
そういう風なものが見えればと思ったが、俺にそこまでの力は無かった。
決してパルティータさんにそういったものが全くないとも思わない(大会に参加する中で、というのはあるだろう)が、1度2度言葉を交わした程度でそれを喚起させるだけのものを俺は見せられなかった。
とまあ、要はフラれてしまった訳で、この仕返しは組んでいれば良かったと思わせることで果たしたいと思う。
(しかしこの後、信じて送り出したパルティータさんがおばあさまとラブラブキリングマシーンになっていたなんて(適当)になるとは、この時の俺は思いもしなかったのだった)
ペティット近辺の川で逆流現象が見られると聞き、そこへ向かった。
リウという用務員の先生が逆流現象の観測を行っていて、それにご一緒させて頂くこととなった。
俺は今まで一度もこの現象を間近にすることが無かったけれど、これは海嘯とかポロロッカとか呼ばれているものらしく河口付近であればしばしば見られるもののようだ。
俺はその現象を間近に見て、しかもそれが良い高さになったところで飛び込もうという野望があったので、タイミングを教えて貰えたことは非常に助かった。
海嘯とのレースを暫く楽しんだが、遡るにつれて馬が駆けるよりも速くなるという波に追いつかれたところで川に飛び込み、リウさんに任された波の高さをその身に感じた。
多分これを下から上まで観測しようと思ったら、空を飛ばないと難しいのかも知れない。
地上を走る生き物では、上流になるにつれて険しくなる道にどうしても足を取られ、波に置いていかれてしまう。(猫より速いと言われる(自称)俺でもあっという間に追いつかれてしまった)
学者先生と言えばもう少し頭の固そうなイメージはあるものの、リウさんはその点でバランスの取れているように感じた。
きっと研究室を持てば学生に人気の出そうな感じの。(だがそこまでの立場になるのがまず大変だ)
そもそも、学術的な興味で観測に来たというのに、こういう楽しみ方をしている俺に嫌な顔ひとつするでもなく、川に飛び込んだ俺を魔法で乾かしてくれたり(滅茶苦茶冷たかったし)、観測していることを簡単に教えてくれたりするのだから。
(釣り人には煙たがられ、猫には逃げられる俺だ)
本当に観測しようとするならば、それなりの人数と機材が必要だと分かっているからと言って、何も言わないどころか半ば同じように楽しんでくれるというのは、学者先生という先入観を吹き飛ばすのには十分な出来事だった。
こういう人と世の中の様々なことを見ていくのは非常に楽しいものだ。
旅の道連れをするなら1人は居て欲しいような。
それはそうと、俺は引き波に乗って海にまで出てみたいのだけど、どうすれば安全にそれが叶うだろうか。
ゾンビ退治のし過ぎで気分が悪くなってきたので、郊外温泉宿に行ったところ、コールさんが来ており、話をした。
コールさんは怪我の為か調子が悪そうではあった。
怪我と、それに伴う調子の悪さ……傷から入った色んなものと体が戦っていたり、魔法や薬での急な回復で変調をきたしたり……によってメランコリックな気分になることは多々あるもので。
聞けば、連続殺人犯(話に聞くマーシレスだろう)と交戦したとのことだった。
それはヘビーな事だと俺は言ったものの、コールさんはそう思わないようだった。
人の命が懸かっていることなのだから、そういうものなんだろうと頭では分かっていると言うものか、実感の無さそうな様子。
マーシレスとの戦いは間違いなくハードなものだろうに、相対したことのない俺ならばともかく、実際に刃を交わしたコールさんがそんなふうであることはとても意外だった。
それが何故なのか分からなくて、コールさんが物事に関わるひとつの軸であろう『依頼』について聞いた。
コールさんがどういった立場からその事に関わっているかによって、その"ぼんやり感"の正体が分かるかも知れないと思ったからだ。
コールさんはマーシレスについて依頼を請けているようだったが、その内容は『捕縛』でも『討伐』でも『護衛』でもないと言った。(さしずめ『調査』か『交渉』か)
しかしその依頼も手詰まりだと言うことで……この件から手を引くことも考えているようだった。
この件について心残りは無いのかとも聞いたが、コールさんは「無い」と答えた。
しかしそれは、「依頼が終わる以上、無い」「依頼が無い以上、あるべきではない」というようなものだ。
俺の追及を自然に振り切って、その深淵をそっと隠したまま、此方に合わせたような笑顔とテンションを振る舞っていく。
相変わらず良い男だった。
それにしてもペティット近辺のスライムというのは、どうしてこう感情表現豊かでそこらの犬猫やら、どうかすれば人よりも可愛いものなのか。
マジでテイマーになるのも悪くないのかも知れない。
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