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もしかしたら俺は、随分酷いことをしてしまったのかも知れない。
真面目にやっているところに遊び半分にやってきて恥をかかせた、の、かも………これは、ごめんなさいだ。
だが、収穫がないでもなかった。
場数が足りないというだけで、反応は悪くなく一人でも何とかしようという責任感、集中力があるし、気配り上手な様子も見て取れた。
ズルさとか爆発力とかそういったものは、今回はあまり感じなかったものの、得手不得手もある、血腥い依頼でもなければそう重要でなし、パーティを組んで冒険に出るには遜色ない力を思っているように思えた。
と色々思うのは、思ったよりデキて驚いたからだ。
だからこそやってしまった感がある。(さようなら先輩風、こんにちは変な人(これは前からか)
賭場で"Showdown"のペア相手探しのための機会があった。
店を借り切っただけのものではあったが、参加者は幾らか居た。
そのときにサリアさんが姿を見せていたのが気になって、店を出た後で声を掛けた。
俺は正義に燃えるサリアさんが賭場に来ていた理由を知りたかった。(だからカードも渡した)
自警団を、猛虎隊を辞め独自の活動をしているというが正義を目指す気持ちに変わりがないはずだ。
そんなサリアさんが大会に興味を持った理由……あるいは賞金首達が姿を表わす機会と捉え、監視などのチャンスを狙っているのだろうか?
サリアさんの答えとしては「それもある」だった。
大会への参加も考えており、その目的は大会に出場した犯罪者を正面から打ち破り、滅すること。
そして優勝をすることで悪に対し威圧すること。
ペティットに、裏側の太陽にサリアありと知らしめる。
目的は苛烈だが正々堂々、悪を決して許さず、誅し滅する様はひょっとすると炎の剣を持つ天使のようであるかも知れない
だが、それは異端だ。
強すぎる光もまた受け容れられないことがある、自警団では、猛虎隊でも、成し得ないとサリアさん自身が感じたように。
彼女はアウトローであり続けている。
それは敢えて、自覚して行っていることでもあるが、正を志すものが本当にアウトロー(外)で居たいと思うだろうか。
俺にも共感できる部分がある。
この大会の内だけでもサリアさんをアウトローでなく、正道に引き揚げることが出来るならば、きっと優勝を狙えるような力が生み出せると思った。
だが、だからと言って、犯罪者と云えども必ずその生命ごと滅するというのには納得出来ないものがある。
サリアさんは戦いの中で自分を止めて見せろと言う、強い者が正義なのだ、だから強くあろうとする。
しかし、それは不確実で、ともすれば戦闘中に致命的な隙を晒す恐れもある。
一定の答えを出せない内は、危険を孕んだまま試合を行わなければいけない。
とまれ、サリアさんには以前から取り組んでいる案件もあるようで、大会へ参加する可能性は低いようだったので、ペア探しを止めるわけにも行かないようだ。
ゾンビにも色々な奴が居る、そういうことだ。
ガンちゃんが来てくれなかったら色々と大変なことになっていたかも知れない、主にツッコミ不在的な意味で。
しかし、桜花出身らしく故郷に帰りたがっている感じだったら武者屍の骨を拾い集めて、桜花に持って行ってやろうというガンちゃん、とっても良い奴だ……。
商店街を歩いていると冒険用の装備を探しているヨハンさんと出会って、イトスギ森のことなどについて話をした。
聖術系魔術師のヨハンさん、以前プチ・リブレの公演にも来てくれたジョンさんの知り合い(同僚?)だという。
一緒に音楽をやってはしゃいだという話をすると、普段のジョンさんの様子とは全然違ったのか驚いた様子だった。
ヨハンさんは冒険用の装備、主に防具を探しているようだった。
少し値が張ってでも良い物が欲しいと言うのでアイニィさんのお店を紹介したが、良い物が手に入れば良いと思う。
そういったものを探しているのは、最近ゾンビ溜まりが出来上がってしまっているというイトスギ森に向かう為だったようで、俺も興味があってその話をした。
そこでひとつ、お金を稼ぎそうなことを思いついて協力を持ちかけてみたのだが、ヨハンさんはどちらかと言えば堅いタイプのようで、マジックアイテムの作成までは頼めなかった、残念。
(作成を本職の人に頼むとどうしてもちょっと高いので儲けが減る)
ネージュはジョークというものが分からないようだった(まあそうだろう)ので、ツッコミを教えてみたのだが思ったより反応が良いというか……若干光るものを感じる!いや、マジだ。
天然というよりもどこか素質を感じさせる、恐ろしい子!
ネージュが通りかかったのは俺にジョークを教わる為ではなくて、イトスギ森のゾンビ溜まりに行くつもりであって、丁度その話を俺とヨハンさんがしていたのが耳に入ったようだった。
観光に行くわけではないようで、俺は少し意外だった。
以前より逞しく見え、弓の練習をしていたとはいえ(クラーケン退治に一役買ったという話も聞いたような…。それに光魔法も使えると言っていた)、報酬のためというのでも無いし――
旅に出た理由も結局まだ、聞いたようで聞いていない。
両親から譲り受けた物を手に旅に出てはいるものの……喜んで送り出された訳でも黙って出てきた訳でも無いようだ。
初心を思い出させてくれるもの、という話になったとき、旅にかける気持ちを聞けるかとも思ったが……それはモノではなくてソレユだと言うし、ネージュが直ぐには言葉に出来なかったためそれ以上は聞かなかった。
聞いて後悔するようなことも(きっと)無いのだろうけれど、何だか躊躇ってしまった。
ところでネージュが言うには、三角獣をペティット牧場で見たという。
駆けっこ好きなもので駆けっこをして遊んだというし、間違いないだろうとは思うのだが
まさか、あの森から遥々ペティットまでやってきたと言うのだろうか?
探してみる必要はある。
ルナという学生も話とも話をした。
イトスギ森のゾンビ溜まりに特別興味があった訳ではないようだったが、ネージュの(彼女曰く)女優のようなツッコミに目を奪われてしまったようだ。
ヨハンさんとは読書会(そんなものが行われていたのか!)で会ったことがあるらしく、ネージュとは歳も近く直ぐに意気投合していたように見えた。
(というか2人は結構雰囲気が似ている)
今年になってから留学(寮生活だそうだ!カッコイイ)で他の街からやってきたようで、中々学のありそうな感じというか、要はお嬢さんだ。
(こういう子をもう少し表現できるボキャブラリーが欲しい)
ペティットの学院と言えば魔法を学ぶこともでき、冒険に目を向ける学生も居るため、ルナさんにもゾンビ退治を紹介してみたのだが……
興味はあれど冒険はしたことがないようで、想像をした段階でこう、汗とか出ちゃって(ワクワクすることを想像した時にムズムズとなるアレだ)、いっぱいいっぱいになってしまったようだ。
実際、今回の依頼は危ないことに慣れるのには絶好の機会だ。
色々な支援を受けられるし、倒せなくても問題はないし、逃げたいときに逃げていい。
自分一人でやらなくてはいけなくて、目標を達成しなければ誰かの命が失われて、逃げることも出来ない
そんな状況のどれか1つでも最初から味わいたいだろうか?
正直な話、此処で「俺に任せておけば大丈夫だから付いて来い!」と言えば来てくれたかも知れない。
危険とか、役に立てるかどうかとか、1人じゃ心配なのだ、大丈夫だからと言ってやる人が居ればそれで良い。
でもこげなお嬢さん方を冒険にご招待した挙句ヘマしたらと考えると、それが言えなかったりして。
こういうときミカン君とかだったら「よし葉っぱ、行こうぜ!」と言ってくれて1人で行けよなんて冗談を言う余裕だってあるだろうに。
やっぱり男相手の方がやりやすいというか、俺は意気地がないことだ。
闘技場にて、モラさんと手合わせをした。
近距離でのやりとりではどうしても種族差を感じさせられるが、俺はそれをどうにか上回ることが出来た。
それはモラさんが種族としての特性を活かせない状況だったことが大きかったのかも知れない。
狼は群れで狩りをすることも多く、チームワークやスタミナに優れるものが多い、モラさんは基本的に姉妹で冒険者をしているというし1対1での短期決戦自体が苦手だったのかも知れない。
逆を言えば、ペアを組んでの勝ち点狩りに関しては、ひょっとするとスペシャリストである可能性もある。
モラさんは他の誰かの為にこの大会に参加するようだった。
「自分とともに罪を背負った者を解き放ってやりたい」と言う。
ペア相手の願いも叶えてやりたい……それがモラさん自身が大会に出場する理由なのだろうか?
俺は自分の偽善を精算したいと思っている。
俺には……モラさんが真の善としてそう口にし、優勝をめざしているのか、このときは見極める事が出来なかった。
(真の善のなんたるかが分からないのに、それを見極める事が出来るのかと言えば無理なのだが、「もしかして」とか「なんとなく善いものである」とか、そういった感覚は誰しもあるだろう、それが無かったということだ)
偽善であればそれを打ち破る。
真の善か、それに近いものであれば、モラさんのペアは俺を打ち破るだろう。
それを見極めるためにも、モラさんとはペアになることは避けた。
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