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森で、楠の下でラゼットがぼうっとしていた。
憔悴したというか、放心状態というか。外は強い風が吹いていたのに、風を避けるでもなくただ樹の下にいて物思いに耽っているようだった。
アムーガで土産にと手に入れてきた酒を酌み交わしながら(とか言って俺は全然飲まなかったのだが)、カトゥの事を話す。
そこへ双頭の大蛇を従えた朧菊さんもやってきて、3人で話した。
酒と聞いて現れたとしか思えない朧菊さんに、アムーガから持ってきたネップ・カムを振る舞う。
だがこの酒はミハエルさんへのお土産として持ってきたものだから、飲むなら代わりの酒をおくれと言ってみたところ、先の駆け比べの商品であった星酒をくれた。
杯を何枚も持っている(酒を注げば赤とんぼが水面に揺れる美しい杯だった)のを見て、どうしてそこまで酒が好きなのかと聞けば、幼い頃から身近に酒があったのだと言う。
朧菊さんの産まれた村の事情から神として扱われていたらしく、奉納されていた酒を幼いころから飲んでいたのだとか。(更に言えば朧菊さんは種族的にも酒に非常に強く、酔ったことも無いという)
そんな立場にあった朧菊さんが何故今、こうしてペティットに居るのだろうか、このときはラゼットとの話に集中していて聞くのを忘れたが、今度聞いてみたいとも思う。
ラゼットはカトゥをイェンスさんに返したことを後悔していた。
イェンスさんに"返した"と考え自分を騙していたが、イェンスさんその人からお前はカトゥを”捨てた”のだと
イェンスさんが元々奴隷だと言う事情を分かっていながらそうしたことに傷ついたと言われたようだった。
その上で、「罰則はないだろう」「捨てても構わない命だったろ」と、敢えてそう言われてしまって
ラゼットはカッとなってイェンスさんを殴ってしまったようだ。
そりゃ、放心状態にもなる。
俺はラゼットに人形を渡した。
カトゥから預かってきた、ラゼットへの贈り物だ。
子供が産まれたときにその成長の無事を願って贈られるもの、カトゥが産まれたときに贈られ、家を離れるときに家族に預けられていたもの。
ラゼットが奴隷商人から連れ出してくれたお陰で今が、無事に成長して家に戻ることが出来た時間がある。
家に戻ったばかりのカトゥが持つ、唯一の大切な物、とも言える物だ。
取り返しがつくのだとラゼットに報せた。
カトゥのことは終わっていない、致命的なことになってはいないのだと。
イェンスさんのことだって、まだ取り返しがつく。
ラゼットは、自分がカトゥに関わったことはカトゥにとって意味のないことだったと考えていた。
連れ出そうが連れ出すまいが、結果は同じだったのだと。
カトゥには、ラゼットに頼まれてやったことだと言っている。
ラゼット自身、自分が意図したことではないと思っていても、それを隠して、笑顔でカトゥに会いに行かなければいけない。
それはつらいことかも知れないが。
(嫌だと言っても俺は引きずって連れて行くつもりではある)
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