忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2024/04/19

8/10 ヘラジカの角亭にて

ラゼットと連絡を取って、ヘラジカの角亭の裏庭で話をした。
風の強い日だったが真夏のこと、暑くはなく涼しいくらいで、話も周囲に聞こえづらいのは丁度良いことだった。

最初はことの成り行きを話した。
イェンスさんの商売について調べていたこと、人身売買の現場に遭遇してしまい強盗に及んだこと。

思い出すうち、そのときに思ったことまで洗い浚い、冒険者仲間だからと話してしまった。
ラゼットがこのときも連れていた仔猫獣人(恐らく奴隷なのだろう。共通語も喋れない)を見ていると、「力がなければ強いものに良いように扱われる」ということを思い出してしまう。

ラゼットも「頭では分かっている」タイプなのだろうというのが、このとき、殆ど確信のようにして分かったこともまた、俺の口を滑らかにしたことだろう。
「命を大切にすること」も"常識"「無価値なものに対して自ら危険を冒さない」こともまた"常識"
そう口にした、頭では分かっていた、だが迷うタイプだ。
(頭で理解するにあたって、過去苦い思いをしたようだったことも、何か関わりがあるかも知れないが)


 次に、ラゼットの持つ事情を聞いた。

ラゼットはイェンスさんから商品(この仔猫獣人のことだ)を盗んでいた。
俺が未遂だったのに対し、ラゼットは実行していたということだ。

口にした"常識"に則った行動をしたにも関わらず、「ユベルティ以上の馬鹿だ」と言う。
頭で分かっていても、どうしようもないこともある。

俺はラゼットのことを讃えた、「俺は全員をどうにかしようとして誰も助けられなかった。だがお前は目の前の手を掴んでやれた」と。
だが、ラゼットは否定した。
「イェンスとの取引の材料として攫った」と。

なら何故、自分を馬鹿だと言ったのか。
俺は信じない。


 ラゼットはイェンスさん自身のことについて踏み込もうとしているようだった。
イェンスさんのことを知るために、この仔猫を攫ったのだと。

これは憶測でしか無いが、恐らくは、この仔猫が暴力から逃げているところに遭遇したとき
「助けなければ」という思いと同時「これは使える」と、瞬時に"分かってしまった"のだろう。

確かに「助けよう」という善い心から発生した気持ちもあった。
だが、「取引に使える」という考えが頭のなかに湧いたとき、人はどうしてもそちらを注目してしまう。

善いことは、純粋な善い心で行わなければ、それは偽善なのだと、思ってしまう。

 ラゼットはイェンスさんの事を知りたいという気持ちを抑えきれなかった。
だから最初から「取引のために攫った」ことにして、自分の善い心を隠してしまっているのではないか。

 ラゼットはイェンスさんに少なからず好意を持っているようだった。
信用している。
この仔猫をイェンスに返したとき、その後の処遇を聞き、それが嘘だろうと、それを信じると言った。
なんてことだ……どうなるか、ラゼットにだって容易に想像できることだろうに。


 はっきりした記憶ではないにせよ、昔、この仔猫と同じように森で追いかけられた記憶があるというラゼット。
イェンスさんとのことが無くても、同じように攫っただろうということは否定しなかったラゼットが。
もしかすると、イェンスさんが最後のラインを守ってくれると、仔猫に対して酷いことはしないだろうと、信じているのだろうか。

仔猫の処遇次第ではイェンスさんを殺してしまっても良いとラゼットは言った。
やはり信用しているのだ、イェンスさんを。

何故か。
イェンスさんは元々奴隷だったのだと言う。
(俺はイェンスさんが何故、奴隷に対して何も思わずに居られるのかと考えていたが、その答えを聞けたような気がする)

そのイェンスさんが"慈善"を行い、その裏で奴隷を売り捌いている。
その矛盾をラゼットは解明したいようだった。
人は幸せに向かって生きる。
イェンスさんは何を思ってそうしているのか、何を幸せと思うのか、知りたがっているのだろうか。

俺は、イェンスさんの"慈善"というものは商売上のやり方だと思っている。
彼の慈善はそのまま商売に繋がっているし、立場の確保にもなるという、経営上の戦略。
だが、彼の幸せについては考えたことはない。

あなたはパン屋の店員の幸せについて考えるだろうか。
普通は考えない、どうしてパンを売っているのか、何が好きで、どういったことに幸せを感じるのか。
その人を、人として、友として捉えなければ、そうは考えられない。


 真実という名の、切り立った崖に向かって火の玉のように生きるラゼット。
そのために仔猫ちゃんを使ってしまってはいけない。
きっとお前は後悔する。

だから、お前がやらないというのなら俺がやる。


 別れ際、ゼルサリスを倒したことについてラゼットが礼を言ってきた。
何故ラゼットに感謝されるのかと思ったが、ラゼットは"姉"という単語を使った。
ファルベリアの弟なのだろうか、ラゼットは。




お相手頂いたキャラクター… ラゼット

拍手

PR

2013/11/21 ユベルティ Comment(0)

COMMENT

COMMENT FORM

NAME
MAIL
WEB
TITLE
COMMENT
PASSWORD

カレンダー
 
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
 
 
プロフィール
 
HN:
都一郎P
性別:
非公開
自己紹介:
PはPLのP、プロデューサーのP。
カタルシス信者。キャラに苦難?ご褒美です。
キャラに属性やキーワードを持たせる事が下手、発想が貧困、皆様のネタで生かされています。
 
 
最新記事
 
(07/05)
(07/22)
(06/23)
(06/23)
(06/23)
 
 
カテゴリー
 
 
 
ブログ内検索
 
 
 
最新コメント
 
[10/18 【色欲】リフェリスPL/クロ]
[07/05 マッハ竜人PL]
[04/08 都一郎P]
[04/03 アイニィのなんか]
[04/02 またたたたび]
 
 
アーカイブ
 
 
 
リンク
 
 
 
バーコード
 
 
 
RSS
 
 
 
アクセス解析