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- Newer : 1/29 闘技場にて
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グリンさんにダートラディアさんのことを伺う日。
グリンさんが言うには、まだダートラディアさんの「底」を見ていないということだが、それで構わないのだ。
「底」を見せる前であれば十分効果的で、「底」を見せる前に倒せば万々歳。
その後だろうと、気が緩んだ瞬間には此方が出てくるのだ。
速い、巧い、強い、脆い、柔い。
グリンさんはこの5つの要素でダートラディアさんを例えた。
速い…これは主に脚力について。獣人混じりというのもあるが、特徴と言うレベルで鍛えているのだろう。亡霊騎士も蹴りには気をつけろと言っていた。
巧い…これは戦闘時の「呼吸」についてだ。相手とのタイミング、リズム、呼吸を合わせるのが巧いと言う。レインさんや亡霊騎士も同じようなこと(感覚が~)と言っていた。
強い…主に防御面について。巧いの要素である呼吸を合わせること、相手の動きをよく見て、即座に体を正確に動かすこと。だからこそカウンターなのだ、大斧で防御の難しい一撃、のような押し付ける攻撃ではない。
脆い…精神的な脆さ。ダートラディアさんは精神的に強い、が、当然脆いところもある。それがむしろ戦闘時に出て来やすい(戦闘に興味があるのだから当然と言えば当然だ)。肉体的にも強固とは言わないのもある。
柔い…身体的に柔軟性があるというだけのことでなく、柔の強さ、衝撃打撃を上手く逃がす技術を持つということだ。レインさんの言っていたこととも合致する。
これで3点から光を当てた、俺の視点も入れれば4点だ。
どんどんと浮き彫りになっていく。
最後にフランセットの話を加えて完成させる、ダートラディアさんを完封するだけの戦いを。
その後は、グリンさんに此方の話をした。
このことの代償として、という訳ではないが疑問に思うのは当然のことだ。
このときには、バレットさん側の交渉が失敗したことが分かっていた。
バレットさんは俺よりずっとダートラディアさんに対する思い入れが強い……と思うし、レインさんも協力していたハズなのだが、一体何があったのだろうか?
意外と言う他には無いが、これで今のところ生きている交渉ルートは俺だけになったのだ。
出来る事なら、彼らがスムースに交渉を進めてくれて、ダートラディアさんに新技術が施される前に成立させてくれればと願わないこともなかったが。
(俺の我侭は我侭として、やはりダートラディアさん自身になにもないことが一番ではあるからだ)
気負わずには居られなかった。
グリンさんにも、「俺も同じだけのリスクを負うこと」は話さなかった。
話したところで、グリンさんは俺のことを止めたりしなかっただろうし、誰かに話したりもしなかっただろう。
誰か1人にでも話してしまえば、決意が揺らいでしまいそうだった。
本当に正しいことをしているという自信が無かった、社会が俺を支持してくれるという気もない、ダートラディアさんが望む結末に向かっているとも思えない、皆にさえも……ただ俺の決断であり、俺の決意だけが俺を動かしていた。
しかし、そんな俺にも関わらず、グリンさんは剣を預けてくれた。
信頼の、心からの声援の証のように思えた。
俺はグリンさんの姿が闘技場から見えなくなるまで、その背に向かって礼を向け続けていた。
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