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- Newer : 2/3 ヴェロナージ(訓練場)にて
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寄生体を体に馴染ませるのは簡単なことではなかった。
まず単純に痛かった、体の中をめりめりと進むのだから痛い訳がない。
痛みで眠れない程では無かったが、気にはなったし、何より体の中に別の生き物が根を張っていくというのは気味が悪いものだ。
このまま取り殺されるのではないか?そう思ってしまうこともある。
体は体で、妙なものが体に入ってきたものだから当然抵抗をする。
やはり俺用に調整されていないこともあるのか体調はずっと悪かった。
しかし、そうも言っていられない。
試合の日は迫る。
それまでにコイツを体にならし、使いこなすことは勝利に必要なことだった。
寄生体が俺の体に馴染み、訪れた変化を使いこなさなければ。
俺の魔力はみんな、この寄生体が持って行ってしまっているようだ。
そしてそれを勝手に使うのだ「俺の為を思って」「俺がそれを望んでいると思って」。
こいつは俺の体から魔力的な何かを出していた、それの正体は後でラプラスに聞いたところ「電磁波」というものらしい、魔力の。
「電磁波」というものの詳しくは俺にはよく分からなかったが、とにかく目に見えない魔力光線が出ているのだ。
そしてそれは、微弱だが受けた人の心に作用する。
ラプラス自身も同様の力を持つという、人を僅かにでも洗脳するような力だ。
俺はこれらを使いこなす為に、ミスリルダストの闘奴などが利用する訓練所に来ていた。
ペティットに居れば森だとかもあったろうが、調整の為にヴェロナージに居ればこういう場所しか知らなかったのだ。
グリンさんが貸してくれた双剣には術式が刻まれており、魔力を込めることでそれを起動することが出来る。
これを、寄生体が放つ魔力(の電磁波)で起動できるように鍛える。
自分で操ることが出来る魔力はない、こいつに頼るしか無かった。
そういう生き物なのだ、やって出来ないことはない。
そこへ、ペティットから社会勉強に来たという学生が訪れた。
ココという20くらいの女の子だった。
考古学を学んでおり、航海士になりたいのだと言う。
航海士として船に乗り、旅先でその土地の歴史に触れたいのだと言う。
ヴェロナージという国には秘密がいっぱいありそう!と言う、大体合っているが、この街の危険さには気がついていないのか、おっとりというかのんびりした性格の子のようだ。
(穏やかなのはとっても良いことなのだが、この街では危険だ)
自分で言い訳をすることだが、ヴェロナージでは気の休まらないことばかりあり、苦痛に悩まされ、体調も悪いときた。
そんなときに、まるで場違いなように穏やかな女の子と話していて、気が抜けないなんてことがあるだろうか。
例の電磁波は、気を張っていれば出さないでいることもできるのに。
………
……
…
俺の、この寄生体の放つ欲求の力を、私利私欲には使いたくなかっただけではない。
ペティットの人間に、こういった力があるとバレるのが嫌だった。
寄生体を体に入れたということは、まだ誰にも知られたくないことだった。
無事にペティットに戻れていれば良いが。
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