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2024/05/08

2/15 森の奥の泉にて

準決勝まであと2日、焦燥は最高潮に達しつつあった。

まだ足りないと感じていた。
龍翔氷ノ羽音(仮)を超える為には、まだ足りていなかった。

森の奥の泉へと来ていた、此処で編み出したバウンスノーバウンスを更にもう1段発展させることが出来れば、或いは攻略に至るかも知れないと。


短い間に様々なことが頭の中で渦巻いた。
自分でも何を考えているのか分からなくなってしまうほど思考が散らかり、俯瞰して、やはり最後には、バウンスノーバウンスを見つけ出すに至ったあの欲求が顔を出す。

ヴェロナージで寄生体を体に住まわせたことで、俺はいつの間にか"これ"を見つけ出すコツとでも言うべきものを掴んでしまったのかも知れない。
あの時と同じ気分だ、最低の気分だったが、力に溢れるような気がした。

そして、バウンスノーバウンスは新しい顔を見せようとした。


 しかし、俺はそれを押し留めた。
それをやってしまえば、今度こそ本当に、Marchenとの戦いで自覚させられた通りの魔法になってしまう。

けど、それ以外に一体どうしろって言うのだろう?
この一番強い力に頼らないで、どうして龍翔氷ノ羽音(仮)に勝てるというのだ。
どうすれば優勝出来るっていうんだ!!
優勝したいんだ、勝って、勝って、勝ちたい一体どこまで終わりがない見下していっときでも勝敗の無い世界一番苦しみから仮面近付けない妬み才能偽善を成すなど眼、眼、眼俺じゃない俺じゃない欲しい眼差し本当の引け目無く持っていない羨ましい勝ち誇る許される見せつける証明羨望信頼愛―――




変わらなきゃ………。


分かっているから。

この欲望に流されることでは、真実は手に入らないのだと。

変わりたい、涙を流しながらでも。

俺も飛び立つんだ。





お相手頂いたキャラクター… 水面に映る影

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2014/07/30 ユベルティ Comment(0)

2/12 闘技場にて

風船で空を飛ぶことに挑戦した後、俺は闘技場に来ていた。
自由に空を飛ぼうとすることも大事だが、それよりも今、俺には準決勝が大切だからだ。


 準決勝への不安は俺に重く伸し掛かっていたが、同時に楽しみでもあった。
それは崖から飛び出す直前の気持ちに似ていて。
翔べるか、それとも翔べずに落ちるかという不安、だが今日も味わった、踏み出した後のあの景色……飛び出す前の不安の向こうにあるそれを俺は準決勝に感じていた。


 闘技場にはローゼス・ショコラという魔女っぽい女の人が来ていて、体を動かしたいというので修練に付き合ってもらうこととした。
ローゼスさんはClasH戦を観戦して下さっていたし、大会に…大会に参加している人に興味があるとのことだった。
体を動かしたいというのは単なる誘い文句で、大会出場者である俺のことを知りたかったのだろうとは思うが、俺としては断る理由が無かった。

ローゼスさんは魔法使いだと思ったらあまり魔法使いでなくて、魔法使いでないと思ったらやはり魔法使いだった。
彼女に触れたものはチョコレートになってしまう、一撃を入れたとしても、入れた傍からチョコレートになってしまい威力は幾らか殺されてしまいようだ。
(更に自分の支配下にあるチョコレートは自在に操れるようでもあった)
俺も触れたものを変化させる魔法を使うが、ローゼスさんの方がずっと練度が高いというよりも強力な"呪い"であるようだった。

さすがに体術ではかなり差があったか、ナイフ一本向かってくるローゼスさんに対し、棍を持つ俺が遅れを取るでもなかったけれど
棍がチョコレートとなってボロボロに崩れ落ちる前にローゼスさんを打ち倒すことは出来そうになかった。

俺は修繕が利く程度のうちに降参を宣言、ローゼスさんは物足りないようではあったが、俺は準決勝の為に修練をしているのだから、それに支障があってはいけない。
俺自身の疲労程度ならある程度無理を利かせられても、武器を直すには材料もお金も時間も居るのだ。

ローゼスさんは何と体のパーツをも一旦チョコレートで代用することで元に戻す(痛みは残るらしい?)事ができるらしく、打ち倒すには苛烈に攻め続ける必要があっただろう。

 俺自身がチョコレートになってしまったら、果たして治せるのか?という不安もあった。
だが降参した後で、ローゼスさんがチョコレートにしたものなら修復できると聞き、あらまあ、といったところだ。(棍を直してもらえた)

その後、修練の礼にとご飯に誘ったが、ローゼスさん曰く「尊い人物を食べる」ことを至上の喜びとしている……らしい。
カニバリズムの可愛い版というか、アイニィさんやらダートラディアさん的な愛のカタチみたいなのだろうか。
大会に興味を持ったのも、”美味しそうな”人が居ないか見に来ていたのだろう。


 この様子をノルンさんが見ていた、試合を観戦していたこともあるが、闘技場で姿を見るのは珍しいことにやはり思える。
知り合いらしいローゼスさんにとってもやはり意外なことであったらしく、俺と同じ疑問をノルンさんに向けていた。

ノルンさんは「このような大会に出てまで何を求めるのかが気になった」と
俺は、こうして闘技場に足を運んでしまっているあなたにならもう分かっている筈だと言うが、
ノルンさんは「欲しがる気持ちがわからない」と言う。
それは欲しいものがあっても諦めてきたということだろうか?
深く問う前にお腹が空いたので、この日はそれ以上聞けなかったが。

(ていうかどうも、ノルンさんはローゼスさんに自分の体をチョコにして食べさせたらしい。自分がどんな味か興味あったってあなた…)




お相手頂いたキャラクター… ローゼス ノルン

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2014/07/29 ユベルティ Comment(0)

2/10 闘技場にて

ロゼッタさんへと、龍翔氷ノ羽音(仮)との準決勝の日程が決まったことを伝えに闘技場へ向かった。

 お姉さん方に挟まれたロゼッタさんは楽しそうであったが、闘技場には当初、修行をしようと思って訪れただろうことは間違いなかった。
けれど、直ぐに楽しい方に流れて行ってしまうのがロゼッタさんらしいところではあり……。
それは人生に於いては素敵なことであっても、Showdownという大会を制するために有用であるかどうかは、また別の問題だった。

 ロゼッタさんは悩んでいる。
俺は、そうして悩み抜いた先にあるものこそが真に己の力になるだろうと思っている。
それを応援することは出来ても、答えを此方から与えてあげることは誰にだって、極めて難しい。

共に頑張ろうと励まし、コッソリ作っていたユニフォームを見せた。
多分元気を出してくれたと思う、多分だが。


 その場に居たお姉さん方の1人、エリシュカさんは吸血鬼ルック(本物の吸血鬼という訳ではなく、吸血蝙蝠の獣人だそうだ)で最近ペティットにやってきたというディヴィシュ商会のお嬢さんだ。

吸血鬼の末裔を名乗るのは、恐らくご先祖様が吸血鬼なのだという話が一族に残っているからなのだろう。(今は蝙蝠の獣人であることがわかっているからと言って、吸血鬼の末裔を名乗ってはならないなんて俺も思わない)

しかし中々、この吸血鬼ごっこも、「ごっこ」と言うのが憚られる程度には堂に入っており、本気でそれをやっていることが伺える。
ペティットでも名を挙げ、畏怖の対象として力を付けることが目的ではあるらしいが、その手段も実に真っ当なものでありプライドの高さが伺えるものであった。
このようで有りながら、殆どのことに「良い意味で」という前置きを付けることが出来るというのも、中々凄いことだ。


 もう1人のお姉さんであるマクナーリアさんは、吸血鬼だというエリシュカさんを結構怖がっていたが、お化けが怖いタイプなのだろうか……。
折角闘技場に居たからということで、その後少し修練に付き合ってもらった。




お相手頂いたキャラクター… ロゼッタ エリシュカ マクナーリア

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2014/07/29 ユベルティ Comment(0)

2/9 森の奥の泉にて

森の奥の泉からマリアさんの声が聞こえたので、俺は真っすぐ行って話しかけた。
三角獣のことについて、どうしても聞きたいことがあり、お願いをしなければならなかったからだ。


 マリアさんは先日の試合で顔に負った火傷をそのままにしていた。
それはとてもマリアさんらしくて、そういう意味で男前(女前?)で、実にチャーミングであった。
けれど本心を探るとかどうかに関わらず、満点の笑みが見られないというのはかなりの損失であることは間違いないと俺は思う。
自分を偽ることで駆け引きを楽しむかのようなことを言っていたけれど、俺にはそれは良く分からなかった。
俺が自分を偽るのはいつだって、自分を良く見せる為だけだ。
(そしてそれを剥がされるときはいつでも激痛を伴った。少しずつ本当に近くなっているだけで、それは変わらない。)

偽ってあまり良いことはないと言う俺に対してマリアさんは「自分の本質が『善』だ(或いは少なくともそう思えている)から」そう思えるのだと言うが。
もし其れが本当なら、自分の本質を『悪』だと感じる人は、自分を偽っている方が安心するのだろう。
思うまま悪で居られる者はともかく、自分の本質を悪だと感じた上で敢えて偽っているのはつらく寂しいことだ。
(この場合、悪が悪を成す為に自分を偽るのとはまた違う。マリアさんが試合中のドン引きするような恐ろしい感じを隠しているようなもののことだろう)


 で、俺は単刀直入に「三角獣を返して貰えるよう」お願いをした。
俺はマリアさんが彼に何をしてどうなったのか直感的に把握できるほど魔法に通じていなかったので、もし可能性があるならとダメ元で言いに来た訳だ。
此れまでは自責の念でこう口にする力も出なかったものの、ソレユ君が俺を勇気付けてくれたように思う。

下手に緊張してしまっていた俺と違って、マリアさんは試合内のことを外に持ち出さないサッパリした人だった。(とても良いところだ)
けれど、その口から出た言葉はやはり「食べて消化してしまったものを元に戻す事が出来るかどうかはわからない」というものだった。

マリアさんが食べる事が出来るのは物体そのものではなく、魔力的な、謂わば『魂』とでも言うべきものだ。
それを消化してしまって、また元の通りに吐き出すことが出来るとしたら、それはきっと神の領域だろうとマリアさんは言った。

 そこまで聞いたところで、マリアさんは俺に「何故そこまで執着するのなら、試合で選択を迫った時に三角獣の身の安全を第一としなかったのか」と聞いた。
今思えば、もしかすると答えように依ってマリアさんのこの件へのやる気が上下したのかも知れなかったが、この時の俺はそんなことを考えることさえなく自然に返答をしていた。

それは、試合中の自分の決断に自信を持てているからだったろう。
でなければきっと、もっと、後悔してしまっている筈だ。
俺は三角獣を失わず勝利を得る可能性があると考え、自分を信じてそれに賭けた。
結果としてそれは一部失敗してしまったけれど、そういったリスクを背負う覚悟をした上で決断出来ていた。

悲しいことは悲しい、だが後悔はしていない、悲しみの中ではあったけれど、俺は昔の自分との違いを感じていた。


 マリアさんは色々と手段を考えてくれた。冒険を共にしたよしみであろうか、力になってくれることに感謝こそすれど、試合でのことを恨む気持ちはない。
マリアさんは残酷なことを口にするけれど、これだけ誠実にして貰った後では冗談にさえ聞こえなかった。

 俺達が物を食べることと、マリアさんが魂(生命力とも言う)を『食べる』ことは大凡同じことだという。
そして、彼女にとってそれが同じであっても、他の人にとって違うことを分かっていてそう言うのだ。
恨んでも良いし、力づくで奪ってもいい、それが生きることなのだと。

そんなのは一周して優しさであるとさえ思うのに、マリアさんは自分を『悪』だと感じているのだろうか。


 俺は三角獣にしてしまったことの重みをこの身に感じてみたくて、俺の魂を一部食べてみて欲しいとも頼んだ。
それは何処をとっても単なる自己満足ではあったけれど、俺は自分自身が決断したことを正しく認識していたかった。
もし、それがとてつもない苦しみであったのなら。
優勝と引き換えにするべきでない程の、筆舌に尽くし難い感覚であったのなら、俺はやはり後悔しなければならないだろうから。

それを確かめたかった。
けれど、マリアさんはお腹も空いてないし俺はあまり旨そうじゃないから嫌だと言う。
(美味しそうだと思う要素は食べ物と同じで好みが大きいらしい……どうすれば美味しそうになるのかは今ひとつ分からなかったが何かショックだ。ルードローズさんが美味しそうなのだとすればちょっと難しい。)


 しかしながら、俺のやるべきことは決まった。
魂とでも言うべきものを失ってしまい、抜け殻となってしまった三角獣に、それをまた取り戻させてあげることだ。
体はきっと、アーシャが探し出してくれる。
マリアさんが言うには、魂は時間が経てば(もう一度産まれ直すような時間だ)勝手に溜まるのではないかと言うけれど、それはやはり生まれ変わりなのだろう。

だから俺は、彼の体を、彼の生まれ故郷へと連れて行くことに決めた。
其処でならもしかすると、例え生まれ変わるとしても、限りなく元の彼に近いものとして生まれ変わることが出来るかもしれないと思うからだ。

俺が彼にしてやれる事はそれだ、彼は俺のために生まれ故郷からペティットまで来てくれたのだ、今度は俺は其処へ向かう番だ。




お相手頂いたキャラクター… マリア

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2014/07/16 ユベルティ Comment(0)

2/7 ヘラジカの角亭にて

リタ婆さんが、ヘラジカの角亭のマスターであるヒュイゲンさん相手に、「ジェアンの森」のことについて話していたのでそれに混ぜてもらった。

どうやら現地で調査をしているルトナさんからの報告が届いたらしく、それを検証しているところのようだ。
調査の結果、ジェアンの森がジャイアント……それも一つ目巨人の形をしていることが分かったのだが、其れは今となっては失われてしまっていた情報だった。

今は不毛の地であり全体像が分からずに居た森であったが、ジェアンの森と名付けた古来の人々は此れを知っていたのだろう。
そしてその地には古くから「勇者が倒した巨人の身体が森になった」という伝承が残っていたらしい。
此れをリタ婆さんは王権神授説的な後付け作り話であろうと言うのだが……そうなれば、以前此処に文明が栄えていたことになる、その足跡(遺跡など)が残っていないのはどういうことだろう?
てな感じのようだ。

で、建国神話で無いとすればいったい何が隠されているのか? という疑問に辿り着くが、それは今の段階では推測の域を出ない話だった。
そして、現地のルトナさんは「侯国の探索隊についての情報はない?」とリタ婆さんに聞いているというわけで。

かなり面白そうなことになっているみたいだ、俺も大会が無ければ飛んでいきたいくらいではあったが、準決勝の相手は「龍翔氷ノ羽音(仮)」、自他共に認めるラスボスだ、よそ見している暇はなかった。

リタ婆さんは、怪しさ満点過ぎる大会なのに良くやるぜとは言いつつも決勝進出を祝ってくれ、更に俺に魔法のスクロールをくれた。
その魔法の効果は、3分の間、最大30立方メートルの岩を泥や砂に変えるもの。
パッと見戦闘向きではないと言うが、俺には此れの然るべき使い方が直ぐに分かった。

こういった気持ちのよい先輩になりたいものだと、いつ会っても思う。




お相手頂いたキャラクター… リタ

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2014/07/15 ユベルティ Comment(0)

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