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川で修行をしていたところ、ミルリア先生がいらしたので少し話をした。フキノトウを貰った。美味しい。
俺は旅立ちの準備をしていた。
魂を失ってしまった三角獣の体を故郷へと喚び出し、そこで再構築を行う為に。
フライルー地方の西の果て、嘆く霧笛の谷へと向かうつもりでいた。
Showdownの決勝戦は見ていくつもりだったが、その後は直ぐに街を発つ予定なのだ。
ネージュがShowroomから自力で脱出したという報せもある。
………
……
…
そんなとき、エルフの女の人が歌を歌っていた。
気になって話しかけてみたところ…使っている魔法から、その人がミルリア先生(マクナーリアさんの古代魔法の先生だったか)だと分かった。
ミルリア先生も僕の名前を知っていて…この日は時間が無くて、そんな自己紹介をするに留まったけれど、顔と名前が一致した、というのは大事なことだ。
また会ったときには古代魔法の話を聞かせて貰えるようお願いしてみよう。
ロゼッタさんと反省会をした。
Showdownが始まってから出会って、会ったその日にペア組んで。
思えば最初っから今まで、ずっと走りっぱなしだった気がする。
会えば次の対戦相手がどうの、特訓がどうの……お互いがお互いを良く知らない中で、手探りに、おっかなびっくりに。
結局、此の日になっても、俺にはロゼッタさんの気持ちはよくわからなかった。
俺を優勝させる。
それがロゼッタさんが大会に出場する目的だと言っていたけれど、その気持を解することが出来なかった。
そしてそれこそ、俺達のペアにとって必要なことだったように思う。
もっと、こういう話をしなくちゃいけなかった。
時間が無かったのもあるが、確かに俺はそれを怖がっていた。
解らなくても、解らなくて良い、と思えるところまで行かなければならなかった。
参加して良かったとロゼッタさんは言うけれど。
俺は悪事を褒められたようで、素直に喜ぶことは出来なかった。
その後、リウ先生の姿を見掛けていたので、ロゼッタさんと一緒にちょっかいを掛けに行った。
まさしくちょっかいというか、ウザ絡みをしに行ったのだ。俺達の得意分野だ。
森で獲った蜂蜜を舐めながら、夜の木箱置き場でのんびりお喋りした。
リウ先生はどうも時々、自分に自信が無くなってどこにも居たくない気持ちになると言う。
自ら進んで命を懸けて戦っている者…命を懸けて戦うことで本懐を遂げられる者。
それを止めたら、どうなってしまうのか。
命は救われても、魂は救われないのかも知れない。
命と魂、どちらが大事か。
それは個人の価値観に依ってしまう。どちらが正しいのか分からないことだ。
命を助けることは正しい行いのハズなのに…そういった矛盾が出てきてしまって、苦しむ。
命も魂も助けるには。そう考えて、力が足りなくて、打ちのめされる。
そういうことを目指すのは、並々ならず、そりゃもう、自信が無くなってどこにも居たくない気持ちになったりする。
それでも。
それでもと、言い続けることが出来たなら。
酒場にて西に向かう旅の算段をしていたところ、マクナーリアさんがやってきて少し話をした。
魔物を追い払う依頼をこなしてきた帰りだそうだ。
俺の、西への。未だ目的地しか決まっていない旅の算段を聞いて同行を申し出てくれた。
同じく西のリリアンドル方面へ、里帰りと、リコスの代わりに墓参りに行くのだそうだ。
リコスは学院でのことが忙しいのだろうか、卒業したらやはり冒険者になるのかと聞けば、両親がペティットでやっている魔法薬草屋を継ぐつもりだと言う。
両親共々ペティットに移住してきたというから、先祖の墓というよりは誰かリコスの個人的な関係の墓参りなのだろうか。
リコスと言えば…リコスをペティットの診療所で見たことを口にしたものの、マクナーリアさんはピンと来ていないようだった。
(多分、恐らく、後で思い起こしただろうけれど)
俺は診療所に入院しているリフェリスの見舞いに行ったとき、その姿をちらっと見ていたのだった。
マクナーリアさんは俺が来ていたことを知らなかったかも知れず、思い当たらなかったのだろう。
この冬から始まっていた、リフェリスは原因不明の体調不良……。
体の、体温調節機能が著しく不調をきたしてしまうらしい。
冬の、特に天候の悪い日は高熱にうなされることもあるとのことだ。幸いそれ以外に目立った症状が無いとは言っても、寝こむ日も多く合併症の不安も大きかった。
かなり心配な、出来れば何とかしてやりたいことではあったけれど、俺は努めて淡白に見舞っていた。
リフェリスが眠っているときなどを狙って訪れた。
大会があるから何もしてやれない。
いや、大会などの他のことを優先して「何もしてやらない」のが辛かったからだ。
あまつさえ、俺は途中まで「倫の火」を手に入れられた暁には、それを置いて行方をくらませようと思っていたのだから。
勝っても、勝てなくても、自分のことしか考えていなかったのだから。
合わせる顔は何処にもなく、試合に負けて入院している間も、極力隠れるようにして過ごしていた。
俺は、自分の欲求の果てを見るために大会に参加した。
暗い欲望に身を落としたのだから、こういった結果が待っていて当然なのかも知れない。
もし勝っていたら。変われただろうか。
…。
欲を捨て去れと言うのは簡単だ。
しかし此れは俺の中にいつも渦巻いていて決して消えることのないもので。
そして確かに、俺の才能の一つでもあろうものだった。
向き合って、後悔は無い。しかし、得たものは何だ?
2月も終わり。今季最後と思われる積雪があった。
中々気分のパッとしないのもあってソリ遊びランニングに訪れた帰りのこと。どこかの子供の作った雪だるまを眺めている女の子に声を掛けた。
てんで知らない人かと思って声を掛けたのだけれど。それは良く行く酒場で働いているミストラルという子だった。
酒場では大人顔負けに凛々しく働いているものだけれど。雪だるまを眺める様子が中々どうして可愛げのある様子だった。
この時も、「雪は真っ白で綺麗だから好き」と大人びたことを言うものだから。
よし、ソリで遊んでみよう。と誘ってみなければならないだろうという使命感に、僕は当然のように駆られるのだった。
半ば無理矢理ソリに乗せてしまったものの、それなりに楽しんでくれたようで。
いつの間にか、最初に雪だるまを見ていたときのような笑顔を見せてくれるようにもなっていた風に思う。
ソリは少し怖がっていたけれど、馬などに乗るのはむしろ好きな方だという。やはり生き物の方がどこか安心感があるのだろうか。
広場でギルバートとモラさんがShowdownの話をしていたので混ぜてもらう。(飴をを配っている不思議な女の子も居た)
ギルバートが珍しく私服で居るのを見て、その後も少し話をした。
ギルバートは怪我の為療養中だったようだが、怪我のこと以外にも落ち込み、参っているように見えた。
話を聞けばやはり何か、抱えていることがあるようだった。
俺はそれを最初、やはりペティットという街のこと(例えばShowdownという大会の危険さ等)について多忙であり参っているのかと思っていたが、それは違った。
誰か個人のためのこと……自警団員としてではなく、1人の人間として関わっていること。
けれどギルバートはそれについて、自分は殆ど役に立てそうに無いのだという。
それでも此れだけ思い詰めて、ただ支えになってやりたいと口にしていた。
純粋だ。
何故、俺はこの純粋さを持てないのだろう。
どうして会いに行ってやれないのだろう。
その答えが自分では分かってしまっていて、結局、足があの場所へと向かうことは無かった。
そんな自分が嫌で、もうできれば…会うことが無ければいいのにとすら思った。
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