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- Newer : 3/6 森にて
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酒場にて西に向かう旅の算段をしていたところ、マクナーリアさんがやってきて少し話をした。
魔物を追い払う依頼をこなしてきた帰りだそうだ。
俺の、西への。未だ目的地しか決まっていない旅の算段を聞いて同行を申し出てくれた。
同じく西のリリアンドル方面へ、里帰りと、リコスの代わりに墓参りに行くのだそうだ。
リコスは学院でのことが忙しいのだろうか、卒業したらやはり冒険者になるのかと聞けば、両親がペティットでやっている魔法薬草屋を継ぐつもりだと言う。
両親共々ペティットに移住してきたというから、先祖の墓というよりは誰かリコスの個人的な関係の墓参りなのだろうか。
リコスと言えば…リコスをペティットの診療所で見たことを口にしたものの、マクナーリアさんはピンと来ていないようだった。
(多分、恐らく、後で思い起こしただろうけれど)
俺は診療所に入院しているリフェリスの見舞いに行ったとき、その姿をちらっと見ていたのだった。
マクナーリアさんは俺が来ていたことを知らなかったかも知れず、思い当たらなかったのだろう。
この冬から始まっていた、リフェリスは原因不明の体調不良……。
体の、体温調節機能が著しく不調をきたしてしまうらしい。
冬の、特に天候の悪い日は高熱にうなされることもあるとのことだ。幸いそれ以外に目立った症状が無いとは言っても、寝こむ日も多く合併症の不安も大きかった。
かなり心配な、出来れば何とかしてやりたいことではあったけれど、俺は努めて淡白に見舞っていた。
リフェリスが眠っているときなどを狙って訪れた。
大会があるから何もしてやれない。
いや、大会などの他のことを優先して「何もしてやらない」のが辛かったからだ。
あまつさえ、俺は途中まで「倫の火」を手に入れられた暁には、それを置いて行方をくらませようと思っていたのだから。
勝っても、勝てなくても、自分のことしか考えていなかったのだから。
合わせる顔は何処にもなく、試合に負けて入院している間も、極力隠れるようにして過ごしていた。
俺は、自分の欲求の果てを見るために大会に参加した。
暗い欲望に身を落としたのだから、こういった結果が待っていて当然なのかも知れない。
もし勝っていたら。変われただろうか。
…。
欲を捨て去れと言うのは簡単だ。
しかし此れは俺の中にいつも渦巻いていて決して消えることのないもので。
そして確かに、俺の才能の一つでもあろうものだった。
向き合って、後悔は無い。しかし、得たものは何だ?
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