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- Newer : 5/17 闘技場にて
- Older : 5/14 海辺にて
広場を通りかかったとき、縫物をしているナツメさんを見つけたので声を掛けた。
黒い着物に鈴蘭の刺繍をしているところだったようで、それはナツメさんが先日出会い、そして討伐した、亜人狩りの便乗犯イポリートへ捧げるものだったようだ。
その他にも色々な話をした。
名付けの話、ナツメさんが作ったという苺大福を頂きながら。(料理も得意らしく、早速意気投合したジュリエッタさんと一緒に料理をすることになったようだ。)
大福という名前が好きだと言う話から、名付けで失敗したという話に。
というのも、俺が初めて人に付けた名前が「ナツメ」だったからで…同じ名前の相手を前にして懐かしくなってしまったのかも知れない。
それからナツメさんの故郷の話。
それはイメージするならモルンニアのようなところで、ナツメさんの一族だけが暮らす隠れ里のようなところだそうだ。
血を重んじる、閉鎖的な里…そういったことと反りが合わず、故郷を出て旅をしているとのことだ。
そのせいで亜人狩りというか…「純血」について思うところがあるようだ。
けれどあのクランは何か別の力に動かされている、言わば戦争をする為の大義名分…そういう事に使われている感がある。
ナツメさんの一族はきっとそうではないだろう。
閉鎖的なのも、大切なものを守りたいからであって欲しい。
いつか故郷に戻ってお互いに歩み寄れたら、どんなに素敵だろうか。
ここ、ペティットも色々な血、意見の集まる場所。
この街での経験が、勇気を与えてくれるかも知れない。
他、ナツメさんは教養もあり凛としていて中々隙が無い。(それにとても良い人だ!)
どこか慌てたところでも見てみようと思い、悪戯の宣戦布告をしておいた。
さて、何を盛ったものか。
ジュリエッタさんとの話の中で口にした赤い夜のこと…ナツメさんにも聞いて貰いたくなったのは、やはり偶然にもファルベリアと容姿(狼顔や犬顔は人間からすると違いが中々わからないというのもある…)が似ていたから、というのもあるが。
この後、商店街で買い物をし料理を手伝う事となった。
鉱石を掘って来ていたらしいガルベージさんとも少し話した。
今は鍛冶を趣味にしているのだろうか。
彼が面倒と思う事を覆すような情熱は、もう無いのだろうか?
人探し中のジュリエッタさんが通りかかって、討伐チームに参加するという連絡を受け取った。
これを聞いたときは、僕は非常に困った。
てっきり今回は前に立たないものと高を括っていたからだ。
確かに戦力としてはこの上なく頼もしい事だ(獣人も多いことだし)。
しかしジュリエッタさん+激しい戦い というキーワードから、俺は赤い夜の事をどうしても思い出してしまう。
今度また同じような事になってしまったら?
それに今回は完全に敵陣での事だ、偶然フラウラさんが通りかかるなんて事も無い。アウトだ。
そう考えると、とても怖くて、失敗しないようにと、どうしても緊張してしまうのだ。
お守りしますから。などと、相変わらず大見得を切って逃げ道を塞ぐ方向でしか覚悟を決められない自分(しかも言う事は相変わらず分かり易い結果の話だ)に半ば辟易とはするのだが、そこはジュリエッタさん。
逆に「今度は貴方を守らせてください」って、全く。(そもそも特に守った記憶も無かった)
このような事が無ければ、此のことは俺の中で傷になったままだったろう。
ガルベージさんの言うように、ただ色褪せていくだけだ。
俺よりずっと先に強く変わろうとしていた姿を覚えている。
その徹底したとも言える様子に…傷を傷のまま日常に埋もれさせようとして俺はある種の恐さを感じたりもした。
眩しくて、美しくて。とても直視出来なかったものだ。
自らの境遇に果敢に立ち向かったファルベリアの事も想う。
真っ赤に染まりながらも駆け抜けた姿を。
この二人の姿が勇気をくれる。
強いからだとか、悪を倒すからだとか、誰にやさしいからじゃない。
何もしていなくても、その人がその人であるだけで。
人はひとりでに変わる。
ジュリエッタさんがそうであり、コタロウがそうであり、俺がそうであるように。
今こそ再び纏い、そして越えよう。
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