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- Newer : 08/09 海辺にて
- Older : 07/28 旅の途中
霧の村「ミラージュ」は、ペティットが暑い時期に非常に過ごし易い気候をしている。
ペティットから遠く離れた…とは言わないのに、ある程度の標高と霧の発生しやすい得意な地形のせいだろう、とても涼しいのだ。
冬は北国もかくやの寒さとのことだが。
旅の行程が半日ほど遅れるというトラブルもあったが、元々差し迫ったことでもなく。
日程に余裕を持って悪いことはないな、と改めて思うことだった。
到着したのが夕方だったので、一日目はそのまま休み、二日目は軽く村を見て回った。
民家以外には酒場と宿屋くらいしか無いような小さな村ですぐに一周してしまったけれど、村の人達の暮らしぶりは興味深い。
特に、気候を活かした野菜の栽培や、霧、冬の寒さへの対処法などはペティットでは見られない。
もちろん、俺は観光に来た訳ではなくて「街から来た冒険者」という前評判で訪れたのだ、依頼を請けに。
その依頼と言うのが、この村の観光資源の一つである谷近くに出る魔物をどうにかして欲しいというものだった。
それから3日程は、下調べをしたり魔物の足取りを追ったり…村の人達も見慣れぬ魔物だったせいかこういった情報が無かったので即討伐とは行けなかった。
俺一人だし、無理はいけない、時間が許すなら確り手順を踏む方が良い。
…もっとも、依頼主によっては「今行け直ぐ行けやっつけろ」と言われる事もあるが。
(このうち1日が村の子供達と山を駆け回って遊んだせいで潰れたが、田舎の依頼はのんびりしていて良いと思うことだった。水が美味しい。 ついでに超特大(きっと世界新記録だったね、と思い出す度に思う)のキリガクレニンジャビートルを見つけたがペティットにまでは持って帰れそうもない、子供にあげた。)
余談が長くなった。
つまり、魔物退治を行った。 うん、簡潔だな。
現れていたのは「スライムデシカ」という思わず『スライムデシカなんでしか!?』と問い掛けたくなってしまう(或いは『スライムデシカですか?』と聞き返すのも良い)ような魔物。
(こういったギャグは冒険話をせがまれた時に言ってはならない事なので、こういう所に書くしかない。無念だ。)
「デシカ」とはつまり乾燥剤のことで、さしずめ「どろどろした乾燥剤」といったところか。空気中の水分を吸っちゃうのだ。
空気中の水分を吸って発熱(どんな化学反応なんだ)し、そこに含まれていた塵を結晶化して吐き出す錬金術師ご用達の魔物。
ただし雨となると吸いきれなくて鈍るとか、火で炙ると熱すぎて溶けちゃうなんて辺りお茶目な魔物である。
霧の谷にベストマッチではあるが、この辺りに元々居る魔物ではなかった。
どっかの魔法使いが作ったような魔物だと言われているし。
そいつらが広場に集っていたところを討伐したのだが、3匹も集まると暑くてたまらなかった。
水筒も無くしてしまったし、2匹は殆ど自爆だしで緊張感は無かったけれど。
憎めないやつらだったが、呼び出した元凶をどうにかしなければいけない。
一度村に戻って腹ごしらえをして、調べをつけた場所へと向かう。
そこに居たのはやはりというか流れ者の魔術師で、霧塵結晶を溜め込もうとしているところだったらしい。
横取りしに来たと勘違いされてスライムを消し掛けられたが、全て倒してやっと話を聞いて貰えた。
不覚にも手に火傷をしてしまったけれど、大したことはない。
村の人のところへと戻り、「どこでどのくらいの霧を吸い取るくらいなら問題無かろう」というのを話し合って貰った。
俺の関知するところではないが、乾燥剤として「プチスライムデシカ」を作らされるのかも知れない。
とりあえず、一件落着だ。
手紙に返事を書こう。
「これから魔物討伐だ」と書くのは心配されそうだったから遅らせていたけれど。
しかし、こんな可愛らしい手紙を貰うことになるとは思わなかった。どうやったら折り曲げずに旅荷へ加えられるだろうか…。
2011/08/06 ユベルティ Trackback() Comment(0)
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