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- Newer : 3/19 商店街にて
- Older : 3/18 海辺にて
貧民区にある、メイア宅に来ていた。
前日までの夢の中や、当日のギルドで引っ掛けられたのはリタ婆さんだけだったが、途中で偶然リコスも加わって。
その家は、「小屋」それも「ほったて小屋」と呼ぶのが相応しいようなものだった。貧民区だし。
そんな小屋でも、修繕を繰り返し、この冬の寒さを確りと凌いできたのだ。
小屋の中を調べてみるが、特別不審なところは見つからなかった。
だが現にメイアと、先に訪れている筈のモーブが行方不明になっているのだ。
何か足取りが掴めるようなものがある筈だ……と、何か(嫌な)予感めいたものを感じていた。
部屋の様子をくまなく調べれば、この部屋を訪れたモーブが寝転がった(?)跡を発見することが出来た。
俺達は「メイアやモーブは、この家で眠りに落ちたことで、体ごと夢の世界に行ったのではないか?」と考え、その仮説を実行してみることに決めた。
眠りに落ちたのは俺だ、こういう役目は若いのがやると相場は決まっている。
リコスには魔法的なものを警戒してもらっていたのであって、女の子だからと差別したわけではないよ(震え声)
夢の中は、真っ暗だった。
真っ暗と言うよりは不気味な暗黒で、時折、淡い稲光とでも表現すれば良いのか……そういった仄かな光が空間を照らした。
そこにあったのは、幾人かの人間を丸めたかのような物体(その中にメイアの姿があったように見えた)と、ファンキーとしか言いようのない格好の僧侶だった。
正直なところ、他に言い表し用がないのでファンキーな僧侶と言っているが、間違いなく真っ当な僧侶ではない。
そいつの名前を聞く前に、俺はリタ婆さんに叩き起こされた。
現実世界では、敵が迫ってきていたからだ。
こちらは此方で、目がイっちゃってる修道女だった。(ウェンディ・ルナブルーと名乗った)
どうやら、俺が今やったように、此処で誰かが眠ったのに反応してそいつを始末に来る手筈になっていたようだ。
リタ婆さんが奇襲に対処してくれたお陰で、直ぐさま降参させることが出来たのだが……転移系の術によって逃げられてしまった。
転移に巻き込まれる形で無理に追いかけることも出来たが、単身乗り込んでも返り討ちに遭うだけだ、悔しいが……留まる他無かった。
リコスが魔力を追ったが、上手く撒かれてしまった。
奴らは一人では無く、計画的だ。
残された物の臭いを頼りに追ってみたものの、結局足取りは掴めず終いだった。
やられた、というのが、正直な感想だった。
ウェンディが「メイアは連れて行ってない」と言い残したので、俺達は今一度家の中を探した。
すると、家の修繕後にウェンディの術式が隠されていたように……床の修繕後の下にも、隠されていたものがあった。
メイアの入った棺桶だ。
メイアはその中で、殆ど生ける屍となっていた。
死んでは居ないが生きても居ない、奴らによって施された術の一部であるうちは「その一部として」生きているが、それから解き放たれれば間違いなく死んでしまうのだ。
間に合わなかった、というよりむしろ、俺達がメイアという少女に辿り着いた時点で既に手遅れだったのだ。
ウェンディは、俺達がメイアの家に辿り着いた時点で「私たちの負け」だと言った。
奴らの言う「勝ち負け」とは要は「作戦の成否」のことだろう。
メイアがこうして見付かった時点で、術は成り立たなくなり、奴らの目論見はご破算だからだ。
俺達に残された選択肢は3つ、それも奴らに関することではなく、メイアに関することだけだ。
「呪われたまま死なせる」か「呪いを解いて殺す」か「トドメを刺してやる」かだ。
どれを選ぶとしても、たとえ最善を尽くそうと間に合わなかったとしても、悔しさは込み上げてくるが。
迷いはなかった。
メイアは夢の中で「助けて」と叫んでいた、楽しく物語の夢を見続けている訳ではないのだ。
もしかすれば、この日俺が見た暗黒の夢を見続けているのかも知れない。
悪夢から覚ましてやる、それが俺たちに出来る最後のことだった。
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