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俺はやり切れない気持ちのまま、闘技場に向かった。
少しぼうっとしていたけれど、心をアリエスに置いて来た訳では無い
置いて行く訳にも、振り返る訳にも行かなかった。
振り返らずに此処に来なければいけなかった。
その理由がある、この場所に。
あの子をただ、可哀想だから好きだと言うように扱っていた場所へ。
俺は途中までであっても、この大会、Showdownの賞品として「倫の火」を手に入れて
それを渡して街を去ろうと思っていた。
それが自分のあるべき姿だと思っていたから。
可哀想な子に手を差し伸べて、礼も受けずに去る。
そんな人間のやるべきことだと思っていたから。
理想だった。
変わりたいと思っても変われずに居て、他の誰もが変わらずに在れば良いとさえ思ったから。
あの子の気持ちも考えずに、そんな幻を守る為に使おうとしていた。
だから、その気持ちを確かめに来てしまった。
今それが、どんな風に見えるのか。
ラゼットが居た。
彼も思うところがあってのことだろう。
何しろ、この大会を通じてずっと、もがき続けていたのだから。
同じように、確かめに来てしまっていた。ラゼットの大会も終わっていたから。
しかし、彼は……ラゼットという獣人の目的探しで戦っていた男は……何かを見付けたのだと口にした。
また見つけられて、運が良かったなと言った声は棘があったかも知れない。
3位決定戦にかこつけて試合を挑んだのは、次は参加しないと言うラゼットに勝って文句なしの優勝者でありたいという気持ちがあった。
大会で成し得なかったことの延長戦がしたいという惨めな縋り付きがあった。
そして俺が見つけられなくて、ラゼットが見つけられたものを知りたかったのだろう。
ひょっとしたら、準決勝よりも熱くなってしまっていたかも知れない。
大会を経て、もし自分が、いや、自分の戦いさえも変わっていなかったら。
これが俺の答えなんだなんて虚勢を張ることでしか、自分が成長しているのだと思えない。
どこまで弱いんだ。
だからさあ、ラゼット。
次は出場しないなんてつれないこと言うなよ。
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お相手頂いたキャラクター ラゼット グリン コール
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