[PR]
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
喋りすぎると良くない。
沈黙は金、雄弁は銀だ。
昨日のうちにペティットに戻り、この日はヘレンさん達と共に森の奥の泉へと向かった。
ヘレンさんが自分の今と向き合う為の、儀式のようなものだけれど。
少なくとも幻覚や幻聴を遠ざけるのには良い事だろうと思った。
この事件の発端としては、ドロシーさんじゅうななさい()が関わって居るようだった。
今日、ナツメも来てくれる筈だったが、ドロシーにやはり一服盛られて(?)来られなくなったそうだ。(ジュリエッタさん達が保護しているとか)
ヘレンさんが殺めてしまった浪人の墓、それとヘレンさんが向き合っているのを見守っていたが…。
ナツメさんの娘さん(セツナちゃんと言うらしい)が、ヘレンさんに謝ろうと家を抜け出して来てしまったらしく、ライチさんが慌てて追いかけて来ていたりと中々慌ただしかった。
ヘレンさんは許されたがっているように思えた、「償う」「許してくれる」、そういった言葉を使っていた。
罪の意識に苛まれるが故に、幻聴や幻覚が起こるのだろうか。
俺は主に、「戦いを一度放棄してみてはどうか」と言った。(それ以外にも罪の意識が薄れればと色々な事を言うので冗長気味であったが)
ヘレンさんは元より、正義を愛しているようだった。
悪…犯罪者などを憎み、正しくあろうとしていた。(だから自分の罪も許せないのかも知れない)
今もその気持ちは消えていないように見えたから、一度遠ざかる事を勧めた。
戦いから離れていれば、きっとその気持ちに気付くことが出来るだろうと。
ヘレンさんが心から、彼女の正義を為したいと思ったとき…再び迷いなく刀を握れるだろうと。
今の心境のまま刀を振っていれば、良くない事が起こりそうな気がしたのだ。
果たして何が正しいのかなどは分からない。
そういう考え方だから、この事も話半分と言うか「こういうのもある」という言い方しか出来ない自分こそ、中途半端な事をしているのかも知れない。
ただ話し過ぎて惑わせているだけかも知れない。
意味の無い事だ。
急に生えてきたシャーロットの一言の方が、よっぽど価値があったりするものなのだ。
その通り、生きている奴の事を大事にしてあげた方が良い。
この後、件の魔女、ドロシーが表れて一気にドタバタとするのだが…。
結論としては無事にこの日を終える事が出来た。
ヘレンさんも落ち着き、コタロウとお茶しにいったようだし。
路銀に余裕が無いので観光だけとは行かず、依頼と観光を交互に、或いは同時に。
依頼は、水路を塞いでいるカエルスライムを追い払うものだったり、雨で塞がった道を整える人の護衛だったり。
時計だけでなく、農業の様子を見たりゴーレムについて教えて貰ったり、休みの日は街を見て回ったりと。
この日は良い眺めのカフェがあったので昼食を摂っていたのだけれど、ひょんなことから(といって自らなのだが)川に飛び込むことになって…。
アイザックさんはペティットの自警団員で、観光に来ていたのかこの川で釣りをしていた。
けれど釣り針が引っ掛かって川に落ちるなど、どうも幸薄そうなオーラが漂っている人だ。
川に落ちながらも此方の心配をしてくれるところなど、とても良い人なのだろうと思うのだが……。
魔法剣士だということで、風の魔法を加えた剣で助けてくれた。
魔法には興味が深いのか、或いは空を飛ぶ事に興味があるのか。(空を飛べば川には落ちないだろうが…また新たな不幸を創造しそうではある)
川から上がったところで現れたエルフの(見た目)女の子にマジックアイテムの扱い方を教わっていた。
先日のマジック綿菓子のお店でアルバイト店員をしていたという、ペティットから来た事と良い中々縁の深い相手なのかも知れない。
ペティットに戻れば、また会う事もありそうだ。
川から上がったところに、白い髪のエルフの(見た目)少女が水晶玉に乗って飛んできた。(これがアイザックさんに扱い方を教えていたマジックアイテム)
箒に乗って飛ぶ魔女というのもイメージを大事にしているが、水晶玉も中々だなと思った。
それは良いとして。
とても気さくな人で、ユイちゃんって呼んでね♪(月花と書いてユイファと読むらしい)だとか。
非常にお茶目な感じなのだが、本人曰く「こう見えても長生き」らしい。
魔女っぽい登場のお陰で無意識に身構えてしまったけれど、砕けた調子は悪い物では無い、友達経験値なんて言わずに次は調子を合わせていければと思う。
しかし水浴びをしたことが無いらしい、セレブであった。
カビノチェの時計祭りを見に行った。
職人の街だけに技巧を凝らせた出し物が多く、時計台の仕掛けは実に見事なものだった。
他町にも色々と宣伝してあったせいか、ペティットからの観光客も多いようで。
シアルフィーアさんは此のカビノチェの出身で自らも職人だ。
今回の祭りにも力が入っていたようだけれど…「マジック綿菓子」というのは彼女も初めて見るとのことで、その場に居た皆で食べてみる事にした。
けれど何味が出るか分からず、ゲテモノ味も擁する「Challenge」に果敢に挑む辺り中々豪胆というか…。
くさやミントなんて壊滅的な組み合わせを引いてしまった後の様子も……迫力があった。
大人しい人ほど怒ると怖いと言うが、そんな感じだ。
ブレンと言う名の赤い狼(精霊らしい)とも出会った。
エルフと言う喋るヴォルフを連れていて、仲の良い様子だった。
くさやミントにはかなり辟易していたが、エルフがみたらし炒飯を当てたお陰で二つの綿菓子を手に入れていた。
旅人のようだが最近はペティットに居るのか、教会に幾らか世話になっていて~と言っていた。お土産も買って行ったようだ。
エルフの方は気さくな若者といった感じであった。
ペティットに戻ればまた会う事もあるかもしれないが、そこは旅人同士、運がよければ。
ネージュにも久しぶりに会って話をする事が出来た。
綿菓子は「マンゴー肉」が当たっていたのだけれど、ラズベリー豚骨!とかライチ豚骨!とか言っていた。ラーメンは豚骨派なのだろうか…。
くさやミントの香りで気を失っていたブレンへ治癒魔法をかけてあげていた。
案外と街の外で会う事も多いがこういった所を見たことは殆ど無かった。
旅をしていると言うし…乗馬以外にも出来る事は多いのかも知れない。
そう思ったからではないが、剣を持たせてみると中々サマになっており、ちょっと楽しかった。
ポーズを取ってくれたり視線を向けてくれたりと結構サービス精神旺盛なところがある。
亜人狩りの事を知っているのかどうか、俺の髪の事などを見て心配してくれた。
それで、つい、以前俺の中で引っ掛かったままにしていた「優しさ」の話題を持ち出してしまったが…。
とはいえ、俺がその「以前」よりも気持ちが安定していたのもあり。(殆ど言いたい事を言っただけだが)
けれどやはり何かしら、僅かな罪悪感があった。
優しい心を持つ者にこんな事を言うのは悪い事のように思えた。
けれども言ってしまいたかったのは…白いキャンパスに色を塗りたくなるようなものなのか、どうか。
悪徳かも知れないことだ。
気を付けよう。
森の中でヘレンさんがリハビリをしていた。
けれどその様子が妙だったので、少し話を聞かせて貰った。
どうやら、森の奥にある泉で辻斬りに襲われ、誤ってその命を奪ってしまったとの事だ。
その場にはコタロウも居て、コタロウの命もあと一歩の所で奪ってしまうところだったとか。
その事実に深く傷ついていたようだが、不可解な点もあった。
「当時ヘレンさんは刀を満足に振るえる状態では無かったこと」
「コタロウにも攻撃を加えたこと」
何かに操られていたとか、そういった可能性はあった。
しかし意識ははっきりしていた上に、完全に操られていたとは言えない状態だったのだろう。
自分にそういった気持ち(相手を殺してやろうという気持ち)があった事にも、同じように苦しんでいるようだった。
ヘレンさんは一時的なパニックに陥っているようだった。
幾つもの原因(特にコタロウを傷つけてしまった事など)が重なってしまったのだろう。
コタロウの気持ちを知り、辻斬りの死と向き合う事が出来ればきっと、得体の知れない恐怖に襲われる事は無くなるだろう。
自分のしてしまった事に向き合う事は大変勇気の要る事だけれど、ジュリエッタさんとナツメさんのおかげで、ヘレンさんは勇気が持てたようだった。
(正直なところ、俺一人では上手く元気付けられたとは思えないので二人が居てくれて大層助かった)
後日、泉へ向かう事となった。
大丈夫、君に石を投げられる者など居ない。
元気になったら趣味だと言うガーデニングの成果とヘレンさんの家族を見に行きたいものだ。
ジュリエッタさんは、その泉に魔力を回復しに行くところだった。
あの泉は魔力を湛えているから、そこで休むだけでもかなり影響があるものだろう。
あんな事になったのだから治りが遅いのも仕方ないが…と言うか、もう暫くはこの話題が付いて回りそうで、考える度に思いだしハラハラをするので心臓に悪い。
けれどあの輝くような光景を忘れる事は出来ない。
死ぬよりも怖い事があるからと言っていた、俺はもっと打算的だったろう。
ヘレンさんへと掛ける言葉にも、むうと思うものがあって。
ナツメさんはコタロウについての良いニュースを運んできてくれた。
泉へも同行してくれると言うし、きっとヘレンさんも心強く思っている事だろう。
もう少し話をしたかったけれど、(廃屋にお札を貼ってロールケーキを食べる)依頼が待っていたので一足先に街に戻る事に。
足元に気を付けてと言われたが、雨の降った後の森とは言え転ぶなどという事は無い。
うっかり水溜りを踏んでしまっても、それはそれだけの事だ。
何故かその次の水溜りにも気付かなかったのだが、だからと言って滑ったりはしなかった。
右の靴も左の靴も濡れてしまった、それだけだ。
どうしてか3つ目の水溜りにも嵌ってしまった(足首まで取られた)が、反対の足を付いたから転ばなかった。
4つ目の水溜りで滑って何かの呪いかと思ったが、手を付いたから転んだ訳では無いし、その次は勢いがついていたから本当に危なかったけれど、蔦が下がっていたのでそれに掴まる事が出来たから転んだ訳では無い、断じて。
馬の上からはよく落ち、ギャグを言えば滑る俺だが、水溜りで転ぶなんてことはここ数年起こっていない。
転ぶとしたら凍った地面くらい持ってこないと駄目だ。
とにかく、お化け退治の依頼をこなしてカビノチェへ向かおう。
酒場で夕飯を摂っていた。
ついで、簡単な依頼を請けた。廃屋の調査との事だが…何故か明日の夜と指定されていた。
そこにリズさんがいらしたので、話をしながら食事を共にした。
以前、海辺で私服で居たのは何か特別な理由があったらしく(そして落ち込んでいた、悪い事があったのか)、そのときの事は忘れてくれと言っていた。
とはいえ、お洒落を褒められると照れたり、お洒落に興味はあると言うから…全く持ってもうお洒落などしたくないという訳では無いのだろう。
向いていないと言うのも…やはり同じで。
見せる相手が居れば~と言葉の端々にそういったものを滲ませていた。
恋をすれば女性は綺麗になると言う。
しかしその前に綺麗になれば、恋するチャンスも広がろうと言うもの。
果たしてどちらが先の方が良いやら分からないけれど。
とはいえ、近々ライチさんと遊ぶという事なので嫌が応にも意識してしまうのでは無いだろうか。
心強い先生になる筈だ。
04 | 2025/05 | 06 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | ||||
4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 |
18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 |
25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |