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宝探しから暫くは、報酬の使い道を考えたり、たかろうとする者達から逃げたり奢ったり。
夏祭りの日取りを間違えたり、占い師の真似事をやったり、暗黒相撲界と激しいバトルを繰り広げたり。
この日は、川で剣の手入れをしていた。
そこでルトナさんと偶然に出会って、少し話をした。
ルトナさんは、例のリタ婆さんと昔馴染であったようでパーティを組んでいたと言う。
(リタ婆さんはこの道40年だそうだ妖怪までの道のりを折り返した)
話しながら、ルトナさんが釣りを始める。
曰く下手の横好きだそうだが、自分の意志で自分の好きな事をやっているから良いんだそうな。
望まぬ方法で儲けた100万Gより、自分の意志で稼いだ1Gが良い……自らを以って由とする自由が彼の信条のようだ。
自由の、本来の意味と感じる。
冒険者らしい冒険者と言うか、旅人らしい旅人と言うか。
俺の目指すものの1部を持っているようにも思えた、きっと何があっても自分で選んだことだからと、後悔をしないのではないだろうか。
権利だとか何だとかでなく、己の中にある自由。
釣りのことから趣味の話になり、音楽が共通の趣味だということが分かった。
そのうち2人でセッションをしようということになり、デュオ名を「プチ・リブレ」とした。
丁度自由の話をし、近くに川があったものだから。
ペティットの川、小さな自由、そういった意味で名付けたが、ルトナさんも存外気に入って下さってようで何よりだった。
ルトナさんの昔馴染の1人は、今はこの辺りで畑をやっているのだと言う。
冒険者を辞める、というヴィジョンを俺はまだ抱くことは出来ない。
一体、どういった気持ちの変化があったのだろうか。
空賊の頭目「ブラックマン」と共に、古代文明の宝が眠るという島に向かった。
俺達は、遺跡の鍵である"星剣"の1振りを手に入れていたものの、島の場所はわからなかった。
そこでと言うか、星剣を提供する代わりに島へと連れて行って貰う運びになったわけだ。
宝の取り分は冒険者全体で3分の1、良い話だ。
遺跡を探索するメンバーの中には、先の山賊討伐でパーティを組んだアイニィやシャイルさん、ライバーさんの姿もあった。
その他には、リースさん、魔法使いのバルタザール、冒険野郎らしいリタ婆さん、ロボルザークをつれたペトルーチカ(どっちもサイボーグ?)が居た。
古代文明の遺跡は、どうやらその文明の神を祀った神殿のようだった。
遺跡の内部へ入っていく為の道は星剣によって開かれるらしい、星剣も道も3本あり、1つは海賊や馬賊が先行してしまったようである。
残り2つの道を、それぞれブラックマン達空賊と、俺達冒険者が別れて進むことになったのだった。
星剣を神(主神像だと思われる)に差し込んで隠し通路を開くのは、またとない体験だった。
神殿の内部、通路も扉も、スケールが大きかった。
巨人が作ったのかと思うような遺跡、ほぼ完全な状態で残っていることは、素晴らしいことだ。
最初の扉を抜けた先は、暗く冷たい空間だった。
足元に冷気を纏い視界を奪うガスが充満していて、明かりもない。
ガスは足元の床のないところを隠していたようで、警戒しつつ進んでいたお陰で気付くことが出来た。
その先には61もの扉(頑張って数えた)があり、そのうち60はフェイクだったと思われる。
この扉のことについては詳しいことは分からなかったが、虱潰しに開いた結果、一番大きな扉の先に道が続いている事がわかった。
(残りは元の場所に戻るような魔法がかけられていたようだ)
しかし、その扉の中は冷気を纏ったガスが充満しており、視界はゼロ。
そこで熱探知の出来るアイニィと、レディをエスコートする事に余年のないシャイルさんに先に進んでもらう。
俺たちはロープを伸ばし(此方側の端はパワーのあるロボルザークに持って貰った)、先の道を確認して貰った。
そうして先に扉がある事を確認して貰ったのち、全員でそこへ向かった。
扉の先では神像達に襲われたのだが、この神像達は破壊する以外には、それぞれが形取る神を順番に並べれば停止するように出来ているようだった。
バルタザールが可愛いとか、ペトルーチカの戦いが重量感溢れてカッコイイとか、リタ婆さんマジ俺の婆さん(女は50過ぎてから!)とか。
今回も、前回と違い1日のことだけれど、道中メモが欲しくなるようだった。
次の部屋の仕掛けも突破すれば、遂に宝のある部屋の前まで辿り着くことが出来た。
そこでは既に、ブラックマン達がキャプテンドリルや馬賊の頭領達と激しい戦闘を繰り広げているところだった。
そこへ俺たちも踊りこみ、2本の星剣を確保して宝を得んとした。
リタ婆さんがブラックマンから上手いこと星剣を借り受け、俺が馬賊の頭目の持つ星剣を弾き飛ばした。
(その動きを見て、リタ婆さんが連携を取ってくれたのは流石としか言い用がなかった)
アイニィさんのクレイジーフレイマーは変化に富み、本人の技量と相まって奇襲性が高い。
自身へのダメージよりもカウンター等、反撃を重視するので見た目危なっかしいのだが、リースさんやバルタザールの支援魔法があれば百人力。
山賊退治のときもそうだったが、なかなかどうして支援魔法と相性が良い。
キャプテンドリルは、ブラックマンが相打ち気味に押さえ込んでくれた。
馬賊の頭目は此方のパーティと戦闘になり、その妖怪じみた力を存分に発揮していた。
ペトルーチカの腕を(機械?のようだ)吹き飛ばし、背中を攻撃した俺の手首をその反動で痛めさせるような力量の持ち主。
どれだけ炎に焼かれようと、100年の昔から続く執念はマグマのように燃え上がっており、遂に本物の溶岩の中に沈むまで消えることはなかった。
宝物庫として使われていた場所は、閉まっているうちは室内をマグマで満たしており、宝物はマグマでも溶けぬ結晶の中に閉じ込められていた(衝撃には弱かったので取り出すことは出来た)。
馬賊の頭目が欲望に身を焦がし、宝物庫に飛び込んだところを閉じ込めることでマグマの中に沈めたのだった。
妖怪じみた男とは言え、やはり人の身か。
再び扉を開けた時には影も形も無くなっていて、残った宝を皆で分け合った。
こうして、俺達からすれば海賊船から星剣を引き上げた日から始まった。賊達からすれば100年の昔から続く激しい戦いは幕を閉じた。
結果としては、ブラックマン率いる空賊と冒険者達の連合軍が古代のお宝の半分ほどを分け合ったことになる。
賊というのも毎日毎日こんなことをしている訳では無いだろうが、出来れば賊にはなりたくないな。
お宝は良いものだが、冒険者でたくさんだ。
この騒動は、俺の冒険者としての経験の中では久しぶりに大きな出来事で、大きな実入り(お金の面でも、パーティの面でも)もあった。
海賊船や古代の遺跡で宝探しをするのは、実に心躍る体験だ。
しかし1番は、昔は先輩冒険者にくっついているばかりだった自分の変化を感じることが出来た事が大きかっただろうか。
今であれば、その先輩方にも胸を張って会えるだろうかと考えれば、答えは「まだまだ」だろうけれど。
自分なりに、身の丈にあった変化をしていると感じた。
山賊退治山賊退治と言っていた通り、俺はこの依頼の為にパーティメンバーを募り、準備をしてきた。
しかしパーティの内容は準備の度合いを大きく超え、その場に居合わせた者、途中で加わった者を含めて最終的には8人だか9人の大所帯となっていた。
俺たちはまず、西の交易都市である「ミッレカナーレ」へと向かった。
シャイルさんとルトナさんは別行動で「ジャンナ」へ情報を集めに行った、このときは厳密にはパーティではなかったのだが、後に合流することが出来た。
「ミッレカナーレ」への道中でも山賊の襲撃を受けた。
コタロウを先頭としてアイニィ、メアリーが前衛を務め、それをミツキやマリア、カルディアがそれぞれマジックアイテムや魔法、弓で援護することで難なく撃退する事が出来た。
ここであれ、何か強くね?と若干舞い上がってしまった事を数日後に後悔することになるのだが――。
ともあれ山賊から、どうやら「ある島に眠る宝を手に入れる為に、各地の山賊などが集まっている」という大雑把な情報を手に入れ先を急いだ。
道中、マリアさんが相変わらずの調子でアイニィへラブコールを向け、各所でミツキやメアリーが囃し立てるので楽しい道中であった。(後で聞いたシャイルさんが悔しがっていた)
しかしアイニィは激しい性格をしているのだが、それすら圧倒するマリアさんはやはり、流石としか言い用が無いのだった。
ミッレカナーレに到着し、情報収集に時間を割いていたころ。
ルトナさん達から連絡があり、「ドッグフラッグにザイルという男が頭目を務める山賊団が集結しているらしい」との情報を得た。
~~道中メモ~~
ミツキは良い人止まりでモテないという発言があった。(メモ)
マリアさんは2番目でも良いらしかった。(メモ)
けどマリアさんから見た1番は両手両足の指で数えても足りないらしい。(メモ)
かつ独占欲が強いらしい。1番は沢山居て2番目でも良いけど、本気出すと独占欲強いって凄い。アイニィ曰くの独占欲を分散する為の枷とはよく言ったものだ。(メモ)
アイニィは単独首位じゃなきゃ嫌だと言う、それなりに普通のことだが、この子が言うとヤンデレ激しい意味合いに聞こえる。(メモ)
(重要)ミツキはマリアさんのストライクを、この依頼が終わったら教えて貰える(重要)
~~以上~~
ドッグフラッグに到着し、近くの山にアジトを構えているという山賊に対する作戦を練った。
結果、アジトの偵察及び、ザイルの武器を奪うことを目的として夜に偵察に向かう事に決めた。
コタロウとミツキをマリアさんの魔法でサポートして……という手筈だ。
何かあったときの為に、残りのメンバーも近くまでは向かうことにしたのだが。
山賊達のアジトを見つけることは出来た。
しかし道中に仕掛けられていた罠に警報の機能でもあったのだろうか、此方の動きは相手方に筒抜けであったようだ。
ザイルを始めとした山賊達に待ち伏せされ、ザイルの巨大なブーメランと矢を向けられた。
本当にヒヤリどころか、ヒヤヒヤヒヤヒヤとしたことだが、皆の協力があり、どうにかこうにか逃げおおせる事が出来た。
俺は真っ先に逃げる事ばかり考えていたのだが、お互いを支えあったマリアさんとアイニィ、メアリーとカルディア。
そして全体を助けたコタロウとミツキの力あっての事だ。
俺は今回の迂闊な方針を深く恥じたつもりであったが、間髪入れずに迂闊な作戦を恥じることになるのだった。
俺達がザイルへのしっぺ返し(こっちから仕掛けたのだが)の計画を練っていると、エルフの街が山賊に襲撃されるという情報が届いた。
しかし山賊が居るのはドッグフラッグも同じ、エルフの街の事は近くの者達に任せ、余裕を持って行動できる此方にとりかかるべきであろうと判断し留まることを決めた。
山賊に対抗しようという者達は、俺達だけではない。
再びザイル達の動向を探ったところ、近くの農村「キーリ」を襲撃しようとしている事がわかった。
というか、既に襲撃せんと動き出していた。後手後手だった。
此方も慌てて「キーリ」へと向かい、先回りと言うにはお粗末なタイミング、ギリギリ防衛に間に合う頃に到着したのだった。
ブーメランへ対する確たる策も保たぬまま、付け焼刃の作戦でザイルを惹きつけようとするも上手くいかず、農村を守る冒険者達に被害を出してしまった。
全く作戦が通用しない風でもなかった、徹する事が出来なかったこちらの、俺の甘さだ。
逆に戦力が分散してしまい、苦しい戦いになった。
マリアさんの働きが大きい、状況をよく見てくれていると感じるし、魔法での援護は正に百人力といったところか。
しかしコタロウの負担は非常に大きかったようで、士気が下がってきていたようだ。
カルディアは恐らく人を殺めた経験は無いか、あっても少ないだろうと思う、しかしこうつべこべ言っていられない状況になってしまった、冒険者をするならいつかは通らねばならぬ道だとしても―。
なんとかブーメランだけでも止めようと、ザイルの部隊に接近して矢を射掛けるものの、ザイルも中々の剛の者、その程度では怯んだ様子すらない。
しかしザイルが投げたブーメランは皆によって止められる、おんぶに抱っこだ。
ブーメランを封じたことで、コタロウやメアリーと共に一気にザイルへと斬りこんで勝負を決することが出来た。
運の巡り合わせでザイルをとる事になったが、あの場では誰がとっていてもおかしくなかった。
偶々、俺がコタロウとメアリーの後に続くように調整した結果だった。
別に気分の良いものでもない、欲しいのならくれてやりたかった。
こういった事を割り切れるようになって、随分経ったなと感じた。
ザイルを直接討てたこともあり、「キーリ」へは重大な被害もなく、また、俺達の中に重傷を負ったものも出なかった。
こればかりは、喜ばしいことだ。
そして残党から、俺というバカがお宝の手がかりである剣をマーボーに渡してしまったという情報を得てしまってつらい。
この"星剣"、元は海賊と馬賊と山賊がそれぞれ1本ずつ保持していたようだ。
しかしどうやら、海賊船から剣が引き上げられ、それを馬賊が手に入れた事で事態が大きく動いてしまったようだった。
(山賊の動きが活発になったのは、元々海賊船がペティット近くに来ることになったからだろうが)
………
……
…
な、なるようになっただけだと思いたい。
俺達は補給と休養、そして情報収集の為にドッグフラッグに戻り……そこでエルフの村の事を知った。
そこでは山賊と馬賊、それぞれの頭目が村を守る冒険者を交えて激しくぶつかり合い、村が壊滅する程の被害が出たとのことだった。
そちらに向かっていれば被害を幾らか抑える事も出来たかも知れない、しかしキーリの被害が増していたかも知れない。
どちらが良かったとかではなく、なるようになったのだと、思うしかないことだろう。
問題は、精一杯を尽くしたかどうかだ。
力及ばずとも、出来る限りをしたかどうか。
(けれどエルフの村でぶつかり合った頭目は「もはや天災」を言われるレベルであったようなので、向かっていたらどうなっていたことか……とは考えてしまう)
山賊は消耗し、山賊の頭領も馬賊の頭領も、双方負傷したとのことだった。
しかし山賊が逃げ延びた先も、馬賊の動向も掴めなかった。
ここで、ザイルと同じ四天王(これは公式なのか)の1人を倒したと言う騎士、ライバーさんと合流する事が出来た。
飛竜に乗っていれば竜騎士だし、ザイルと並ぶ剛の者を倒した男だ。
かなりの戦力が加わったと言えただろう。
ライバーさんを加え、手に入れた僅かな情報を頼りに、山賊を追って大猫山脈へと向かったのだった。
宝のことが気になってきたとは言え、今回の依頼は山賊退治。
馬賊と山賊であれば、山賊を追う。
~~道中メモ~~
いつもの癖でメアリーにアバンチュールを誘ってしまったマリアさんが、アイニィの嫉妬の炎で焼きつくされる
~~以上~~
大猫山脈へとたどり着いて見ると、麓の村は荒らされ尽くした後だった。
その様子から見て、山賊達が山に潜んでいるのは間違いなかったが、村は酷い有様だった。
村のこと全てをどうこうする事もできず、街に状況を伝え、簡単に埋葬を済ませるのがやっとであったが……それを終え、大猫山脈へと踏み込んだ。
そこで出会った。手負いの天災そのひとつ、「ビッグロック」と、その配下達に。
挨拶代わりにと、矢が雨のように降り注いだ。
ザイルに待ち伏せされていたときのように、逃げようとも思った。
しかし山とはいえ昼のこと、逃げ込む先が廃村では時間の問題だ。
覚悟を決め、決死の覚悟で山賊の頭目「ビッグロック」へと挑むこととなった。
マリアさんを囲むように隊列を組み、全員が円の外側を向いてマリアさん達を守りながらビッグロックへ向け前進した。
殆ど囲まれており、矢も射掛けられる状況ではマリアさんの魔法が生命線だった。
いや、全員が生命線だ、どこが欠けても、誰か1人でも倒れればそこから雪崩れるように崩れてしまいそうだった。
矢を防ぎ傷を癒すマリアさんの魔法は、この状況を唯一持ちこたえさせているものだった。
コタロウとシャイル、メアリーとアイニィが、身を挺して道を切り開いてくれなければビッグロックへ辿り着くことは不可能だった。
ミツキの大砲は多くの敵を動かし、コタロウをビッグロックの元へと送り届け、バブルンは多くのものを守った。
カルディアもよく食らいついて来ており、取り乱したりすることなく援護しミツキを守っていた。
マリアさんを守る円を維持できたのも、この2人の力無くしては出来なかっただろう。
ライバーさんは単身、上空からビッグロックを引きつけていた、これが無ければ一塊になっていた俺達は投石や投木で一息に潰されてしまっていたかも知れない。
誰かが欠けることで、全滅するか。
誰も欠けずに、勝利を手にするか。
2つに1つ、オールオアナッシングといったところだったろうか。
コタロウは片腕に深い傷を負い、ライバーさんの飛竜は命を落としてしまった、けれど、すんでのところで生き延びた。
グリンの言っていたように「命を先に拾い直した方の勝ち」、そんな気分だった。
マリアさんの気遣いが、傷と心に沁みる。
こんな事をしなければ生を感じられない方ではないが、もう、この時は、一周回っておかしくもあった。
此処まで来たら、「とある島の宝」とやらを確かめなければ嘘だ、そう思う程度には俺は冒険者だった。
同じ事を呟いた冒険者がもう1人居た、もう2度とゴメンだと言って帰ってしまっても仕方のないような目に遭ったというのに。
俺が思っていたより、ずっと肝の据わったというか……冒険者だったのだ、贈り物で悩んでいたことなど、馬鹿馬鹿しくなるくらいに。
山賊退治山賊退治と言っていた俺だけれど、時の運の巡り合わせで海賊船の探索に赴くことが叶った。
マーボーの依頼を請けてきたのかどうか、宝を狙う者達は多く、序盤は彼らに親切を装ったちょっとした悪戯を仕掛けていたのだが……。
そのせいで終日、割りと酷い目にあってしまうのだが、そこは省いていくことにしよう。
しかし悪いことはするものじゃないという事か。
この幽霊海賊船は、100年もの昔、「キャプテンドリル」を大将とする「北洋穿牙」という海賊団がとある島の財宝を狙っているところ、魔女に呪われてしまい出来たものであるようだ。
山賊(西山烈猴と言うらしい)や馬賊と激しい奪い合いが起こっていたようだ、魔女につけ入られる隙もあったのだろう。
キャプテンドリルは船から離れられない根性を気合で乗り切り(惚れた!)、船のミスリル大衝角などを探して陸に居るようだった。
最初はアイザックと呪いをシェアしてしまい、お互いにアバンチュールに罵り合いながら共闘の姿勢を取る。
しかしアイザックはお人好しというか何というか……人に好かれるタイプである事は間違いないのだが。(あそこまで幸薄そうでなければ)
手分けして探すことにした後、ラメラーアーマーを着込んだ神父(?)がスケルトンに説法していたので話を聞く、船の来歴などはこのときに聞いたものだ。
しかしこの神父(?)さん、言葉の切り返しセンスが中々良いような。
その後、船の厨房を見つける。
コタロウとカティさんが何故かべったりと腕を組んでいたが、俺はどちらかと言えば100年ものの乾貨を口に出来た喜びでそれどころではなかった。
年季の入った酒にも勝るとも言えるような貴重な価値、極上の味、それを一皿独り占め(酒は一舐め程度なら振舞われることもある)出来たことは、この冒険での大きな宝だ。
スケルトンとなれど、シェフの腕前も素晴らしいものがあったことだし。
その後、途中の探索を他に任せ、俺はスケルトンから得た「剣は船倉にある」という情報を得て船の下層へと向かった。
下層では、ヤドカリが占領している部屋と、キレてるチーズの部屋と宝物庫があった。
宝物庫にはスケルトンからの情報通り魔女によって鍵が掛かっており、その鍵は幽霊海賊船内に隠された黄金のプレートのようだった。
ヤドカリの居た部屋から1枚のプレートを回収したが、残り2枚はマリーさんがゲットしていた。
プレートを探す途中、貴重な書物を回収したりしていたが、どうもカティさんがKURAGEに刺されたようだった。
コタロウに解毒の方法を教えたが、すぐに毒を吸い出しても助かっただろう……果たして誰がどのようにしてカティさんを解毒したのだろうか。(近くにアイザックも居たはずだ)
マリーさんは、「あるのかわからないお宝よりも、鍵そのものを確実に持ち帰る方が得」と考えたようだ。
マリーさんと行動を共にしていたシャイルは、それに賛成と言う訳ではないとしても女性の味方、マリーさんの意志に沿おうとしていた。
しかし、そこで「財宝は確認したいが、マリーさんとも敵対したくない」シャイルが、途中で手に入れたミスリルドリルで壁に穴を開けたことで、船内にどっと海水が流れ込んできた。
それで船内はてんやわんや、その騒ぎのお陰もあってかプレートを回収し、扉を開けたのだが……海水はどんどん流れ込んでくる。(最終的に沈みはしなかったので、慌てる必要はあまりなかったのだが)
水位は上がっていくし、宝は開けた穴から流れだしていくしで、大慌てだ。
大体の者は避難したけれど、俺はギリギリまで残って剣だけでも回収するつもりではあった、そういう依頼だったからだ。
そして剣の入った宝箱を見つけたとき、物凄いことが起こった。
アヤ(という豚の獣人)ちゃんが100年もの年月を引きこもっていたヤドカリに勇気を与え、その協力を引き出したのだ。(アヤとヤドカリゎズッ友だょ!)
ヤドカリに運んでもらい、1つの宝箱ごと水没を免れ、地上への帰還を果たした。
宝箱の中の財宝は、協力してくれたアヤとリエルとで分けた。
アイザックやシャイルから求めがあれば、俺の分から幾らか分けることになるが9分の1では経費程度にしかならないかも知れない。
剣については、俺には価値がわからなかったので依頼通りマーボーへと渡すことにした。
依頼料は「剣以外のお宝」であったので、実入りは膨大という程ではなかった。
けれど、この日の冒険は得たものが多く、楽しく、非常に良いものであった。
北洋穿牙……海賊であるから、奪った宝を頂いたことに気を使うことは無いけれど、100年もの間呪われていることは不憫でもある。
大衝角、そして彼らが狙っていた「宝」、それを持ち帰る事ができそうであれば、その本懐を遂げさせてやりたくもあった。
しかしこの事が、次の冒険にあのように関わるとは、このときはまるで思わなかったのだが。
街の河原で体を動かしていた。
こう暑いと、近くに水場があるだけで気が軽い。
塩水にも、飽きてきたところだし。
ファスターさんは冒険者仲間だ。
といって、お互い名前を間違えて覚えているくらいに、今まで接点は無かったが。
賊の動きが活発であるという話には興味があったようだけれど、「大事をとって」参加しないと言う。
命知らずの荒くれ者とは毛色が違い、いつも身奇麗にしている。
育ちが良いのか、山賊退治を終えたらいっぱい奢るだなんて、「たかる」という発想もないようだ。
こういう人はかなりの確率でワケアリな冒険者なのだが、シナンビィのようでなければいい。
ケイさんはその点、冒険者らしいサバサバというか、いっそパサパサしたところのある人で。
今日真面目に働いたから明日休むと言うように、賊のことを話していた。
といって、少しは食指が動いたような気色もあったので(勘だ)、ひょっとすると現場で会うことになるかも知れない。
ノインさんと挨拶をしてすれ違い、この日は帰った。
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