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山賊退治山賊退治と言っていた通り、俺はこの依頼の為にパーティメンバーを募り、準備をしてきた。
しかしパーティの内容は準備の度合いを大きく超え、その場に居合わせた者、途中で加わった者を含めて最終的には8人だか9人の大所帯となっていた。
俺たちはまず、西の交易都市である「ミッレカナーレ」へと向かった。
シャイルさんとルトナさんは別行動で「ジャンナ」へ情報を集めに行った、このときは厳密にはパーティではなかったのだが、後に合流することが出来た。
「ミッレカナーレ」への道中でも山賊の襲撃を受けた。
コタロウを先頭としてアイニィ、メアリーが前衛を務め、それをミツキやマリア、カルディアがそれぞれマジックアイテムや魔法、弓で援護することで難なく撃退する事が出来た。
ここであれ、何か強くね?と若干舞い上がってしまった事を数日後に後悔することになるのだが――。
ともあれ山賊から、どうやら「ある島に眠る宝を手に入れる為に、各地の山賊などが集まっている」という大雑把な情報を手に入れ先を急いだ。
道中、マリアさんが相変わらずの調子でアイニィへラブコールを向け、各所でミツキやメアリーが囃し立てるので楽しい道中であった。(後で聞いたシャイルさんが悔しがっていた)
しかしアイニィは激しい性格をしているのだが、それすら圧倒するマリアさんはやはり、流石としか言い用が無いのだった。
ミッレカナーレに到着し、情報収集に時間を割いていたころ。
ルトナさん達から連絡があり、「ドッグフラッグにザイルという男が頭目を務める山賊団が集結しているらしい」との情報を得た。
~~道中メモ~~
ミツキは良い人止まりでモテないという発言があった。(メモ)
マリアさんは2番目でも良いらしかった。(メモ)
けどマリアさんから見た1番は両手両足の指で数えても足りないらしい。(メモ)
かつ独占欲が強いらしい。1番は沢山居て2番目でも良いけど、本気出すと独占欲強いって凄い。アイニィ曰くの独占欲を分散する為の枷とはよく言ったものだ。(メモ)
アイニィは単独首位じゃなきゃ嫌だと言う、それなりに普通のことだが、この子が言うとヤンデレ激しい意味合いに聞こえる。(メモ)
(重要)ミツキはマリアさんのストライクを、この依頼が終わったら教えて貰える(重要)
~~以上~~
ドッグフラッグに到着し、近くの山にアジトを構えているという山賊に対する作戦を練った。
結果、アジトの偵察及び、ザイルの武器を奪うことを目的として夜に偵察に向かう事に決めた。
コタロウとミツキをマリアさんの魔法でサポートして……という手筈だ。
何かあったときの為に、残りのメンバーも近くまでは向かうことにしたのだが。
山賊達のアジトを見つけることは出来た。
しかし道中に仕掛けられていた罠に警報の機能でもあったのだろうか、此方の動きは相手方に筒抜けであったようだ。
ザイルを始めとした山賊達に待ち伏せされ、ザイルの巨大なブーメランと矢を向けられた。
本当にヒヤリどころか、ヒヤヒヤヒヤヒヤとしたことだが、皆の協力があり、どうにかこうにか逃げおおせる事が出来た。
俺は真っ先に逃げる事ばかり考えていたのだが、お互いを支えあったマリアさんとアイニィ、メアリーとカルディア。
そして全体を助けたコタロウとミツキの力あっての事だ。
俺は今回の迂闊な方針を深く恥じたつもりであったが、間髪入れずに迂闊な作戦を恥じることになるのだった。
俺達がザイルへのしっぺ返し(こっちから仕掛けたのだが)の計画を練っていると、エルフの街が山賊に襲撃されるという情報が届いた。
しかし山賊が居るのはドッグフラッグも同じ、エルフの街の事は近くの者達に任せ、余裕を持って行動できる此方にとりかかるべきであろうと判断し留まることを決めた。
山賊に対抗しようという者達は、俺達だけではない。
再びザイル達の動向を探ったところ、近くの農村「キーリ」を襲撃しようとしている事がわかった。
というか、既に襲撃せんと動き出していた。後手後手だった。
此方も慌てて「キーリ」へと向かい、先回りと言うにはお粗末なタイミング、ギリギリ防衛に間に合う頃に到着したのだった。
ブーメランへ対する確たる策も保たぬまま、付け焼刃の作戦でザイルを惹きつけようとするも上手くいかず、農村を守る冒険者達に被害を出してしまった。
全く作戦が通用しない風でもなかった、徹する事が出来なかったこちらの、俺の甘さだ。
逆に戦力が分散してしまい、苦しい戦いになった。
マリアさんの働きが大きい、状況をよく見てくれていると感じるし、魔法での援護は正に百人力といったところか。
しかしコタロウの負担は非常に大きかったようで、士気が下がってきていたようだ。
カルディアは恐らく人を殺めた経験は無いか、あっても少ないだろうと思う、しかしこうつべこべ言っていられない状況になってしまった、冒険者をするならいつかは通らねばならぬ道だとしても―。
なんとかブーメランだけでも止めようと、ザイルの部隊に接近して矢を射掛けるものの、ザイルも中々の剛の者、その程度では怯んだ様子すらない。
しかしザイルが投げたブーメランは皆によって止められる、おんぶに抱っこだ。
ブーメランを封じたことで、コタロウやメアリーと共に一気にザイルへと斬りこんで勝負を決することが出来た。
運の巡り合わせでザイルをとる事になったが、あの場では誰がとっていてもおかしくなかった。
偶々、俺がコタロウとメアリーの後に続くように調整した結果だった。
別に気分の良いものでもない、欲しいのならくれてやりたかった。
こういった事を割り切れるようになって、随分経ったなと感じた。
ザイルを直接討てたこともあり、「キーリ」へは重大な被害もなく、また、俺達の中に重傷を負ったものも出なかった。
こればかりは、喜ばしいことだ。
そして残党から、俺というバカがお宝の手がかりである剣をマーボーに渡してしまったという情報を得てしまってつらい。
この"星剣"、元は海賊と馬賊と山賊がそれぞれ1本ずつ保持していたようだ。
しかしどうやら、海賊船から剣が引き上げられ、それを馬賊が手に入れた事で事態が大きく動いてしまったようだった。
(山賊の動きが活発になったのは、元々海賊船がペティット近くに来ることになったからだろうが)
………
……
…
な、なるようになっただけだと思いたい。
俺達は補給と休養、そして情報収集の為にドッグフラッグに戻り……そこでエルフの村の事を知った。
そこでは山賊と馬賊、それぞれの頭目が村を守る冒険者を交えて激しくぶつかり合い、村が壊滅する程の被害が出たとのことだった。
そちらに向かっていれば被害を幾らか抑える事も出来たかも知れない、しかしキーリの被害が増していたかも知れない。
どちらが良かったとかではなく、なるようになったのだと、思うしかないことだろう。
問題は、精一杯を尽くしたかどうかだ。
力及ばずとも、出来る限りをしたかどうか。
(けれどエルフの村でぶつかり合った頭目は「もはや天災」を言われるレベルであったようなので、向かっていたらどうなっていたことか……とは考えてしまう)
山賊は消耗し、山賊の頭領も馬賊の頭領も、双方負傷したとのことだった。
しかし山賊が逃げ延びた先も、馬賊の動向も掴めなかった。
ここで、ザイルと同じ四天王(これは公式なのか)の1人を倒したと言う騎士、ライバーさんと合流する事が出来た。
飛竜に乗っていれば竜騎士だし、ザイルと並ぶ剛の者を倒した男だ。
かなりの戦力が加わったと言えただろう。
ライバーさんを加え、手に入れた僅かな情報を頼りに、山賊を追って大猫山脈へと向かったのだった。
宝のことが気になってきたとは言え、今回の依頼は山賊退治。
馬賊と山賊であれば、山賊を追う。
~~道中メモ~~
いつもの癖でメアリーにアバンチュールを誘ってしまったマリアさんが、アイニィの嫉妬の炎で焼きつくされる
~~以上~~
大猫山脈へとたどり着いて見ると、麓の村は荒らされ尽くした後だった。
その様子から見て、山賊達が山に潜んでいるのは間違いなかったが、村は酷い有様だった。
村のこと全てをどうこうする事もできず、街に状況を伝え、簡単に埋葬を済ませるのがやっとであったが……それを終え、大猫山脈へと踏み込んだ。
そこで出会った。手負いの天災そのひとつ、「ビッグロック」と、その配下達に。
挨拶代わりにと、矢が雨のように降り注いだ。
ザイルに待ち伏せされていたときのように、逃げようとも思った。
しかし山とはいえ昼のこと、逃げ込む先が廃村では時間の問題だ。
覚悟を決め、決死の覚悟で山賊の頭目「ビッグロック」へと挑むこととなった。
マリアさんを囲むように隊列を組み、全員が円の外側を向いてマリアさん達を守りながらビッグロックへ向け前進した。
殆ど囲まれており、矢も射掛けられる状況ではマリアさんの魔法が生命線だった。
いや、全員が生命線だ、どこが欠けても、誰か1人でも倒れればそこから雪崩れるように崩れてしまいそうだった。
矢を防ぎ傷を癒すマリアさんの魔法は、この状況を唯一持ちこたえさせているものだった。
コタロウとシャイル、メアリーとアイニィが、身を挺して道を切り開いてくれなければビッグロックへ辿り着くことは不可能だった。
ミツキの大砲は多くの敵を動かし、コタロウをビッグロックの元へと送り届け、バブルンは多くのものを守った。
カルディアもよく食らいついて来ており、取り乱したりすることなく援護しミツキを守っていた。
マリアさんを守る円を維持できたのも、この2人の力無くしては出来なかっただろう。
ライバーさんは単身、上空からビッグロックを引きつけていた、これが無ければ一塊になっていた俺達は投石や投木で一息に潰されてしまっていたかも知れない。
誰かが欠けることで、全滅するか。
誰も欠けずに、勝利を手にするか。
2つに1つ、オールオアナッシングといったところだったろうか。
コタロウは片腕に深い傷を負い、ライバーさんの飛竜は命を落としてしまった、けれど、すんでのところで生き延びた。
グリンの言っていたように「命を先に拾い直した方の勝ち」、そんな気分だった。
マリアさんの気遣いが、傷と心に沁みる。
こんな事をしなければ生を感じられない方ではないが、もう、この時は、一周回っておかしくもあった。
此処まで来たら、「とある島の宝」とやらを確かめなければ嘘だ、そう思う程度には俺は冒険者だった。
同じ事を呟いた冒険者がもう1人居た、もう2度とゴメンだと言って帰ってしまっても仕方のないような目に遭ったというのに。
俺が思っていたより、ずっと肝の据わったというか……冒険者だったのだ、贈り物で悩んでいたことなど、馬鹿馬鹿しくなるくらいに。
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