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翌日の事を思い、港で馬鹿な事をしていた。
いつの間にか居たアイニィ(グリンさんの残像も居た)に、試しに「その魔剣を貸してくれ」と言ったら本当に貸してくれた。
といっても、魔剣の一部(ビスケットみたいにペキッと折った。物理的に一部)本来の1/10の大きさのものだ。
剣として扱うにはまるで心許ないが、その剣の炎の力は扱える事は非常に頼りになる。
指輪状に丸めて貰って(!)、携帯も簡単だ。
全く魔剣というのは常識外れで(魔剣というくらいだからむしろ常識的なのかも知れない)、色々と説明して貰ったがなんかもう大変なシロモノだった。
どうしてこんな物を持っているのかと聞けば、死体から拾ったらしく…縁の分からない品だったのは残念だ。(クレイジーフレイマーという名もアイニィが付けたとのことだ。小指に嵌る指輪状にしたので、ピンキーフレイマーとしよう)
きっと役に立つ(そしてとんでもなく役に立った)、借りられた事はこの上ない幸運で、依頼の成功報酬の半分+飯で如何と申し出るのは簡単な事だった。(今なら全部と言われても抵抗できないな)
その後はアイニィの事を聞いたり戦闘について考えたりと幾らか話をして。
途中、俺が妙な事を言ったせいでアイニィは港に泊まる事にしたようだが…。(全くの冗談だったのだが「言霊」という考え方もある)
途中、レジナルドという獣人の運び屋が来て魔剣を欲しがっていた。
アイニィも帰ってくる目途も無いので断っていたが…。
何か色々と速くてテンションの高いにーちゃんで、魔剣を貸していると見れば貰いに、飯を奢る約束をしていると見れば奢られに。
運び屋というより新聞屋と言いたくなる速さだ。
そして明日の事を考えて半ばヤケ(特別な意味は無い、死んだらやだから少しハイになっていただけだ)になっていた事もあり奢るのを承諾する俺も俺だが。
そのうち5000Gもする巨大パフェを食べに行く事にした。
食べると何かが「下る」らしい…恐ろしい食べ物だ。
そして来た時と同じように颯爽と去って行った。
何て言うのかな?アメリカン?(意味不明だ)
皆は思い思いの前夜を過ごしている事だろう。
明日を越えたとき、いったいどんな景色が待っているのだろうか。
闘技場でコタロウと軽く鍛錬。
怪我が治ったら少し付き合ってくれと言われていたので、丁度良かった。
コタロウの戦い方を見られたのは良かった。
お互い探り探りながらの軽い打ち合いでは、真剣勝負のときの空気はまるで無いのだけれど。
むしろ油断しているときこそ、癖や隙の傾向が分かり易くもあるか。
ルピエチカが行なっていたナイフ術をコタロウに伝える、確り見てくれたようで何かの役に立てばと思う。
お返しに居合切りを見せて貰う。何でもコタロウのお父様直伝だそうだ。
武芸者を父に持つと大変そうだ、早く越えられると良いな。
秘密兵器もその居合と相性が良いものだという、頼りになりそうだ。
俺が来る前にコタロウと話していた女の子が居て、その子はロリカと名乗った。
コタロウが何か「匂う」らしく警戒していたが…(後からクラン「純血」の者だとわかった)
旅人…というか旅行者でこの辺りの街を見て回っているらしい。(リリアンドルに向かう予定だとか?)
護身術も修得したいと言うが、なるほど女の子の一人旅には必要なものだろう。
もう一人、ネルヴァル家の者が見に来ていたらしい。
賞金稼ぎだからか、闘技場には獲物を探しに来ているのだろうか。
ナツメさんも来ていたので、何か「必殺技」でも編み出そうと思ったのだが…(主に僕のネーミングセンスの問題で)…連携を確認する程度に留めた。
しかし全く、ナツメさんは中々親しみやすいというか…人の良さが滲んでいるというか。
そんな感じがするものだと、闘技場から帰る道々思うのだった。
広場を通りかかったとき、縫物をしているナツメさんを見つけたので声を掛けた。
黒い着物に鈴蘭の刺繍をしているところだったようで、それはナツメさんが先日出会い、そして討伐した、亜人狩りの便乗犯イポリートへ捧げるものだったようだ。
その他にも色々な話をした。
名付けの話、ナツメさんが作ったという苺大福を頂きながら。(料理も得意らしく、早速意気投合したジュリエッタさんと一緒に料理をすることになったようだ。)
大福という名前が好きだと言う話から、名付けで失敗したという話に。
というのも、俺が初めて人に付けた名前が「ナツメ」だったからで…同じ名前の相手を前にして懐かしくなってしまったのかも知れない。
それからナツメさんの故郷の話。
それはイメージするならモルンニアのようなところで、ナツメさんの一族だけが暮らす隠れ里のようなところだそうだ。
血を重んじる、閉鎖的な里…そういったことと反りが合わず、故郷を出て旅をしているとのことだ。
そのせいで亜人狩りというか…「純血」について思うところがあるようだ。
けれどあのクランは何か別の力に動かされている、言わば戦争をする為の大義名分…そういう事に使われている感がある。
ナツメさんの一族はきっとそうではないだろう。
閉鎖的なのも、大切なものを守りたいからであって欲しい。
いつか故郷に戻ってお互いに歩み寄れたら、どんなに素敵だろうか。
ここ、ペティットも色々な血、意見の集まる場所。
この街での経験が、勇気を与えてくれるかも知れない。
他、ナツメさんは教養もあり凛としていて中々隙が無い。(それにとても良い人だ!)
どこか慌てたところでも見てみようと思い、悪戯の宣戦布告をしておいた。
さて、何を盛ったものか。
ジュリエッタさんとの話の中で口にした赤い夜のこと…ナツメさんにも聞いて貰いたくなったのは、やはり偶然にもファルベリアと容姿(狼顔や犬顔は人間からすると違いが中々わからないというのもある…)が似ていたから、というのもあるが。
この後、商店街で買い物をし料理を手伝う事となった。
鉱石を掘って来ていたらしいガルベージさんとも少し話した。
今は鍛冶を趣味にしているのだろうか。
彼が面倒と思う事を覆すような情熱は、もう無いのだろうか?
人探し中のジュリエッタさんが通りかかって、討伐チームに参加するという連絡を受け取った。
これを聞いたときは、僕は非常に困った。
てっきり今回は前に立たないものと高を括っていたからだ。
確かに戦力としてはこの上なく頼もしい事だ(獣人も多いことだし)。
しかしジュリエッタさん+激しい戦い というキーワードから、俺は赤い夜の事をどうしても思い出してしまう。
今度また同じような事になってしまったら?
それに今回は完全に敵陣での事だ、偶然フラウラさんが通りかかるなんて事も無い。アウトだ。
そう考えると、とても怖くて、失敗しないようにと、どうしても緊張してしまうのだ。
お守りしますから。などと、相変わらず大見得を切って逃げ道を塞ぐ方向でしか覚悟を決められない自分(しかも言う事は相変わらず分かり易い結果の話だ)に半ば辟易とはするのだが、そこはジュリエッタさん。
逆に「今度は貴方を守らせてください」って、全く。(そもそも特に守った記憶も無かった)
このような事が無ければ、此のことは俺の中で傷になったままだったろう。
ガルベージさんの言うように、ただ色褪せていくだけだ。
俺よりずっと先に強く変わろうとしていた姿を覚えている。
その徹底したとも言える様子に…傷を傷のまま日常に埋もれさせようとして俺はある種の恐さを感じたりもした。
眩しくて、美しくて。とても直視出来なかったものだ。
自らの境遇に果敢に立ち向かったファルベリアの事も想う。
真っ赤に染まりながらも駆け抜けた姿を。
この二人の姿が勇気をくれる。
強いからだとか、悪を倒すからだとか、誰にやさしいからじゃない。
何もしていなくても、その人がその人であるだけで。
人はひとりでに変わる。
ジュリエッタさんがそうであり、コタロウがそうであり、俺がそうであるように。
今こそ再び纏い、そして越えよう。
俺は結果を欲して、近道をしようとばかりしていた。
敵に好きなようにさせない為に、甘さを捨てようとした。(オメガ相手には結局、中途半端に終わった)
味方が俺の意にそぐわぬ事をしないように、動けなくしようとした。(幸か不幸か、思いとどまった)
けれどミカのことについて、近道などは見当たりもしなかった。
ミカを苦しめただけかも知れない。
何がミカをそうさせているのだろう。
ある種、異様とも呼べるような様子だ。
彼自身の中でも折り合いがついていない事なのかも知れない。
ミカ自身の気持ちに整理を付ける事が先決だったろう、すんなりいく手順を取れなかったのは確かだ。
今思えば、ライクルスの言っていたことは当たらずとも遠からず。
その日までに、答えを出せればと思うが…(俺にとって)上手く行かなかった場合は貴重な協力者を減らしてしまったかも知れない。
ヴェルデッタさんには悪い事をした。
コタロウはミハエルさんに装備を注文しようとしていた。
創一さんに「秘密兵器」を頼んだり、悩みを克服したり、準備が整っていっているようだった。
きっと活躍してくれるだろうと思う。
協力してくれると掲示板で知らせてくれたアスカにも会う事が出来た。
ライチさん(モテモテやな)の救出を主な目的として力を貸してくれるとのことだ。
以前会った時と変わらずの性格は好ましく感じたし、当日より前に会えたのは良かった。
カーネーションの飾られた酒場で夕飯。
最近は自炊する時間があまり取れないのでこうする事が多い、船で摂ったりもするが、今日はこの日都合が良かった酒場だ。
ロリスさんと言うメイドさん(広場がある通りから一本入ったところにあるお屋敷らしい)とお話する機会があった。
使用人さんと言う職業の方とはあまり話すことが無いので幾らか新鮮だった。
5、6歳の頃から使用人をしているらしく、今のところでは一人で仕事をこなしているようだ、やはりメイドは凄い。
大きな家を維持するのは大変な事だし、冒険者とどちらが凄いとは思わない。
その仕事を好んで出来るという事そのものが、等しく凄く善い事だと感じる。
ロリスさんのご主人はかなり自由なお方のようで、良くして貰っているようなのはとても良い事だ。
あだ名について悩んでいる事を聞いて貰う。
ロリスさんは人を「様付け」で呼ぶのが普通の事のようだったが、ユティと提案された。
何故同じ発想の者が居ないのかわからないが、自分で決めるか、いっそ放っておくのが良いと教えて貰った。
どうやら掲示板の事(闘技場や討伐チームのこと)を知っていたようで、応援の言葉を貰った。
何気無い話で随分気分転換になったし、応援までして貰えて、素敵な夕飯になった。
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