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森の奥の泉にて、瞑想を行なっていた。
瞑想をするとなると、何だか祈るようなポーズを取ってしまうのだが……果たして何をも信仰していやしない俺が祈りを捧げるものとは何なのだろうか、祈るポーズというのも、少し滑稽に思えるのだった。
そんなとき、冒険者界隈では「プリズム・リリィ」として少しばかり名の通った、アイリスさんと出会った。
魔法について悩んでいる事を告げると、なんと手伝ってくれるという。
「此処であったのも何かの縁」というのか、親切な方だ、1人でも多くの魔法使いに話を聞くことは(それも今回はインタビューと言うよりもアドバイスをしてくれるという!)俺にとって非常に有益だ。
アイリスさんが言うには、魔力は「流れる水」のようなものであり、体を巡る川となっていると言う。
体の中に走る幾つもの川を、その徐々に太く大きく、流れる水量を増していくことが出来るように……普段から魔力の消費を抑え、無駄を無くすことが魔力の向上に繋がるのだという。
……という風に俺は解釈した。あってるかな?これ、アイリスさん。
魔法使いを志して8年だという(そろそろ9年だそうだ)、そう聞くと、焦っている俺としては「何年目くらいから成果が出始めたのか」と聞きたくなってしまうものだ。
しかし魔法は人によって、捉え方も扱い方も、何もかもが千差万別だ。
「魔法」「魔力」と一口に言ってはいるが、人の身で成す難いことを「魔法」と呼び、その力の源を「魔力」と呼んでいるだけなのだろう。
しかして、多くの魔術には歴史があり、その多くが争いの歴史ではあるが……それは魔法に限ったことではない。
けれど、人には「より良いもの、美しいものを目指そうとする」意志があるのではないかと、そう思う。
アイリスさんには魔法の師匠以外にも、戦い方などの師匠が居るらしい。
そしてそれは何と、レインさんだと言うことだ。
医者かと思えば武の道を進んでおり、学院で非常勤講師をやっているかと思えば、アイリスさんの師匠でもある。
恐らく、あの人には才能シートというものが存在して、しかもそれはチェックボックス式なのだろう。
時期として、小さな贈り物の季節であった。
アイリスさんはこのイベントの事を知らなかった(無理もない)が、最近購入したという新品のループタイをプレゼントとし、快く応じてくれた。
なかなかお洒落な品のようで、実に我がものとしたかったのだが、やはり自らの定めたルールに則って最終日までは開封しないこととした。
リール商会にて、大規模なセールが行われていた。
様々なジャンルの品物を扱うリール商会が在庫一掃セールを行うとあって、実に多種多様、そして多数の品物に赤札がかけられていた。
しかしこの赤札市、昼に企画されたものらしく、その日の夕方行われたものだから、人がどっと殺到しており、かなり賑やかなものとなっていた。
そこでミハエルさんから売ってもらえたのが、マジックジュエルを2種と白外套用の生地だ。
そのとき、マジックジュエルについて今一度説明を受けておいた。
マジックジュエル……要は魔力結晶であり、魔法の発動をサポートする他に、投げつけたりして粉砕することで魔力の補充や攻撃に使えるとのこと。武器防具に象眼して属性を与えたりすることもできるようだ。ジュエルの発動効果は使用主の魔力の才能に左右される性質があるようだ。
結果として、雷のマジックジュエルを5つを購入し、オマケにルース(純度の低いもの)を1袋つけてもらった。
若旦那自らに接客してもらえるとは、なかなか贅沢な思いをしたものだ。
何しろ、全部合わせたって大した買い物とは言えないのだから。
ラファティ君は装備の新調に訪れているようだった。
そこで俺はラファティ君と一緒に靴を選ぶこととした。
活動の基本と言えなくもない靴、冒険者たるもの、革のブーツを1つや2つ持っていなければ、と思うのだった。
足元を見る、という言葉もある、良い靴を履いていた方が信用されることもある。
しかし、ブーツを買おうと言えば、「食費を切り詰める」と言う。
ブーツも良いが、冒険者は勿論体が資本だ。
というか、たとえ冒険者でなくとも、食費を切り詰めるなどと言うのは聞き捨てならないものだ。
是非、沢山食べて欲しいものだが。
酒場で居合わせた者と世間話を弾ませていたところ、10月も半ばに差し掛かっていることにようやく気づいた。
修練会などで忙しかったとはいえ、贈り物の日やハロウィンが間近に迫っていることに気付かず、驚愕したのだった……。
セシリアと仮装の話をした。
どうやらセシリアは、ハロウィンの仮装に「天使」を考えているようだった。
それもわりと、ちゃんとした(天使について、ちゃんとした、というのもおかしいが)天使らしい。
性別を逸脱した、それこそ天の御遣いとしての天使なのだろう。
セシリアがその仮装をすれば、なるほど美しく神秘的であろうな、と思い楽しみに感じるのだった。
そのことをセシリアに伝えると、以外にも男にそんな風に言われることはあまり無かったと言う。
(女の人からといえば、カッツェさんに沢山言われたことだろう)
以外だが、以前のセシリアを思えば人間が気安く声を掛ければぶっ飛ばされそうなときもあったから、不思議ではないのかも知れない。
そんな凛々しさを備えたセシリアは、天使というより女神のようだな、というと、じゃあ「救いの女神」と言うのだった。
今のところ俺の中では、「勝利の女神」かな。
船上鬼ごっこのときの連携についての話もしたが、要練習といった感覚で共通していた。
また機会を持てれば良いと思う。
つづく
今回も多くの参加者に恵まれることが出来た。
この街にとって、修練会(前回は戦闘訓練)はそれなりの需要のあることのようだった。
前回は亜人狩りに対抗するため、今回は自警団詰所破壊に端を発した「悪党連合(仮)」に対抗するため。
この街には、ただ力を求めるというよりは、街など大切な物を守るために戦う者の多いことだ。
(だから、試合というよりこういった形式の方が、ひろく需要があるのかも知れない)
だが、それを知ってなお、俺は「試合」を行いたいという気持ちがある。
勝ち負けが、優劣がついても良いから、それをやりたいと。
今回も多くの人のことを知ることが出来たのは、非常に大きな収穫だった。
5日、7日の修練会を目前に控えて、7日に雨が降りそうだと気付き「雨天決行」と掲示板に書きに行ったときのことだった。
そこでシュアさんという巫女装束の女の子と偶然出会い、どうも街に来たばかりで困っている風だったので、居合わせた人達とどうすべきか話しあったり。
シュアさんは錫杖を持った巫女装束、見た目は小さな子どもだが頭脳は大人なのか「~じゃ」と渋い語尾がギャップ萌え特徴的な人だった。(蛇の獣人らしい)
傘も差さずに雨の中。なんと替えの服を買う金も無いと言うじゃないか。
(傘は?というと「笠を拵えようと思った」と。放浪者と言うだけあって中々の歩き巫女っぷりだ)
外套を貸すと言えば、毅然として遠慮したり。
目線を合わせるために俺が屈むのにも眉を寄せていたりと中々気位の高い様子だった。
といって、外套を借りるのは俺が濡れるのを気にしてのことであるようだった。
俺が屈むのも俺に労力を払われるのを気にしてのことだったのかも知れない、遠慮深いのか。
(ジュリエッタさんから雨除けの術のかかったリボンを借りることは良しとしたようだ)
「恩」というものに重きを置いているようであった、文化の違いもあったのかも知れないが、数奇な産まれにも関係があるのかも知れない。
魔法で服を乾かしてもらったりして、ある程度難を逃れたのと、当面の見通しは立ったようなのは良いことだった。
ジュリエッタさんは「ちょっとそこまで」行く用事があったそうで、広場を通りかかっいていた。
シュアさんに、自分がつけていたワンピースのリボン(ブローチ式)を貸し、それに雨除けの術をかけてくれた、有難い。
しかし、ブローチ式のリボン、とか、スカーフ式のリボン、と言われても。
(それに最終的にはリボンなのにリボンのブローチだからか、ブローチと呼んでいた!)
俺のようにふぁっしよんに疎い男からすれば
「ブローチはブローチ!リボンはリボン!スカーフはスカーフやろがい!!」
と難解な単語を聞いた挙句、半ギレしてしまいそうになる。(いや全然キレてないっすよ)
しかも、「このくらいのものは皆持ってる」と言うではないか、なんてこった!
マルスリーヌさんに常識人と言われた僕ではあるが、女の子の常識についてはからっきしのようだ!
(それなのに持っているかどうかは「人に依る」と言う、「色々持っている人」と「色々持っていない人」が居るってことは、男性用と女性用よりも更に小さい分類だからそれを狙ってでも俺が女の子だったらリボンのブローチは―あ!?だからリボンのブローチってなんやねんな!?刀の剣かぁ!?じゃなくてリボンをつけたいけど、服の構造としてリボンがつけられないときもあるしそういうときにごにょごにょ……)
ジュリエッタさんは「エリノナイフクガオオイカタナラブローチシキエリアリノカッコウガオオイカタナラリボンシキアッテモチイサメノエリナラハバヒロノリボンハハミデテブカッコウニナッテシマウカラ―」という上級魔法を唱えていたが、俺にはよくわからなかった。
ちょっと、服とアクセサリーをひと通り用意して、実際に組み合わせて教えて欲しい。
俺はお洒落さんに服ないしアクセサリーを贈るのは非常に怖い!
だが「お洒落さんは貰ったものを自在に扱えるから何を贈ってもOK」という素晴らしいコメントを頂いたので少し度胸を出してみよう。
それで修練会の話だ。
ジュリエッタさんが修練会に参加し、尚且つ自警団のやんちゃ坊、ギルバートと手合わせをすると聞いて、俺はもう「来たか……」といった気持ちだったのである。
あんなことがあったとはいえ、俺の気持ちがすぐに変わる訳もなく。
やはり「戦って欲しくない」という気持ちがあるのだった。
これは、先日セシリアにもちらっと思ってしまった通り、可愛いものなど大事なものを引き出しの奥に閉まっておきたい気持ちだろう。(烈火のごとくケチなのかも知れない、俺は。俺のものでも無いのに、そう思うのだから)
(そう考えると、俺はきっと良い親にはならないのかもな)
それは確かに、「良い子だからお家で大人しくしててね」って言っているのと同じかも知れない。
あの時は、それが同じことだと気が付かないで、大事にしたいと言いたくないあまり、あのように言ってしまったが……。
今になって(セシリアにも同じように思ってしまってから)考えてみれば、やはり同じことだと分かる。
俺だって同じように扱われたらきっと嫌だろうなと、気づくのが遅かったわけだ。
(学習していない、とまた笑われた気がする)
かと言って、目を見て言えと言われて、はいわかりましたと実践出来るほど気持ちの切り替えが速い方ではない。
(この間、あんな態度を取った手前、正面切って応援なんか出来ないよ、とかなんてツンデレ状態…)
それに、正面から目があっているというのは、少し怖いな。
真っ向から受け止める強さを持っているんだなあ、とこのときは感心する余裕も無く。
結局、まだまだ、口で言っているばかりだけれど、「応援」すると、半ば宣誓をした。
応援するって感じが、やっぱり上からって言われるかも知れない。(勘弁してくれ、ナルシストなんだ)
もう少し、じっくり考える必要がありそうだ。
人の気持になって。
こういう風に思うまで引き出されたのも、ジュリエッタさんのパワーの成せる業、感服しきりだ。
全ての人が全く我儘を言わず、誰も傷つけないようにしたとしたら、どれだけつまらない世界だろう。
そういったものを超えた人を動かすパワーのことを、どうして我儘だとか優しくないだとかって罵ることが出来るだろうか。
でも顔は近いと思うな、俺は。
最悪の場合、呼吸困難になって死ぬので、そこは優しさをもってして遠慮して頂きたい。
大切に思うことと、大事にすることは違う。と偉い人が言ったことだ。
ミツキもそこへと通りかかって。元気とツッコミを取ったら自分じゃない、なんて調子の良いことを言うものだが、ツッコミはどの辺りにあるのだろうか、俺には見つけられなかった。
アイザックとは友達だと言っていたが、カビノチェに出した屋台を手伝うくらいには友達であることを俺は確認している。
三年来というが、一体どういった経緯で仲良くなったのだろうか。
(ナツメさんとも知り合いのようだ、存外顔が広い)
ミツキは俺に、お洒落をしたらと言うが、冒険者の中ではオシャレな方だし(あくまで「方」だが)、旅をするのにお洒落着は荷物になるだけだ。
という言い訳をしているが、ホントは面倒臭い、なにせ必要が無いのだから。
こういうのは、趣味でなければ、後は必要かどうかだろう。
お洒落をしてお出かけする趣味も必要も無ければ、どうも気が向かないものだ。
それに、どちらかと言えば、興味はひきたくない。
シュアともすぐに打ち解けて話していて、本当に気さくだと思う。見習いたい。
それに、ミツキが「自分はツッコミかボケか!」という無謀なアンケートを行なっていたが、何をどうしてもボケなのは間違いなかった。
そも、そんなアンケートをしていること自体がボケの証拠のようなものだった。
ツッコミをさせられているボケ、これは知らぬが仏なのだが、どうやら知ってもミツキはミツキのままで居てくれるようで、何よりだ。
そんな広場、ジュリエッタさんがその場を去った後、隻腕の少女がやってきた。
どうやら迷子のようで、困っているのだと言った。
しかし、迷子かもしれず(?)、困ってはいるが「此処がどこで、どこに行ったらいいかわからない」と言う。
いっそ「記憶喪失です」と言われた方が納得できる様子だった。
記憶はあると断言したところで、俺達はさらに混乱することになった。
名前はパラコナンタラカンタラジュゲムジュゲムゴコウノスリキレ……シスとよく分からなかったので、「好きに呼んで」と言うとおり、「パラ子」と呼ぶことにした。
すると「シスがいい」と言う。
「安全なところならどこでも」と言うので、じゃあ自警団に、と言えば
「自警団はいやだ」と言う。
どうにも、注文が多いというか、自分の言ったことを瞬時に矛盾させる癖があると言うか。
とにかく、とりあえず自警団へと案内をして、別れたのだった。
シャルロットさんとレインさんもやってきて。
シャルロットさんは、自分は身長160cmだと言い張っているが、どうやら159cm程度しかないようだ。
見栄を張ってというか、背伸びする姿は非常に和むのだった。
俺がミツキと、カップルの身長差は12cm程度が良いという話をしていれば、「15cmが良い」という情報をくれた。
しかし、曰く「背伸びしてチュッてできるくらいが良い」そうだ。メモ。
明日の修練会を観に来てくれると言ってくれたのは非常に有難いことだった。
レインさんには、修練会に来てもらうようお願いをしていたので、その詳しい話をした。
ジュリエッタさんにも聞かれたものだが、「俺がロクに詳し話をしなかった」わけではなく、「情報はない」のが正しいことだった。
ので、「自由にやってくれ」と言った後は、もっぱら俺が確認を取る方になった。
真剣勝負は行わないことや、手持ち無沙汰にしている者と積極的に訓練の声を掛けてくれること。
医者としての力も発揮してくれることなど、確認することが出来た。
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