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リフェリス(Rifelizと書くらしい、普通と違うと言うが)が、子供から手紙を渡されていた。
手紙を子供づてで渡したのはリフェリス(森よりは海派らしい)の知り合い(そりゃそうだが詳細は不明だった)で、旅に出るということらしい。
旅に出るという連絡を、当日に人伝で行うとは中々キザなことをするものだ。
しかし一時的にとは言え別れは別れ、リフェリスにその当人を追いかけて別れを惜しまなくて良いのかと聞いた。
やはりその方が、後悔が無い場合が多いと思ったからだ。
けれどそれは当人間のこと、リフェリスも「大丈夫、戻ってくるって言ってるし」という調子なので、俺がどうこう言うものでもなかった。
とかく、俺にはリフェリスに聞きたいことがあった。
リフェリスは15歳くらいの頃、原因は分からないが倒れたことがあり、その頃から体の成長が止まっているということらしい。
その原因、そのときのことを知るために、リフェリスの家族に手紙を出していた。
その返事には「父親の魔法の暴走で、一度に大量の魔力を浴びた結果そうなったのだろう」と書かれていた。
2枚目の手紙にはずっと父親の謝罪の言葉が書かれていたらしい。(気持ちが落ち着いたら、直接会いに行ってあげたら良いなと思う)
リフェリスはこのことを、ある程度受け止めているようだったが、俺が余計なことを言ったせいで悲しみを思い出させてしまった。
(どうもマイナス感情を人に見せるのが苦手なのか、作り笑いからとうとう、走って逃げ出されて海に飛び込まれてしまうし、俺は一体何をやってるんだ……)
身体的に「大人」になれない悲しさと、自分があとどのくらい生きるかまるで(少なくとも外見的なことからは)分からない気持ちを、俺はまるで分かってやれてなかったのだ。
デリカシーってもんが無いし、優しくない。
相変わらずだという声が聞こえるみたいだった。
俺に出来たことは、勢い余って海に飛び込んでしまったリフェリスを拾い上げて、リフェリスの家に投げ込んで「暖かくして寝ろ!」って言うことくらいだった。
現実的で、かつ非力だった、まるきり馬鹿みたいだ。
次は次はって俺は言うけれど、次がなかったらどうする。
けど、何が出来るかわからないままで、俺はとにかく「健康でいろ」とか言って食べ物を差し入れるとか、そういうことしかできないで居る。
依頼を終えて海辺で一休みしていたら眠ってしまっていたようだ。
目が覚めた時、近くではギガトールさんが何やら陣のようなものを描いていて。
ギガトールさんは最近、真面目に僧侶的な勉強に励んでいるらしい。
この陣もその一環か。
何やら教会から退魔がんばろーぜ!的な司令が出ているとのことだ。
上の意向というやつ。
俺は教会で花壇の世話をしているギガトールさんに、長年疑問に思っていたことを聞いた。
花壇の花が常に咲いている理由、入れ替えた花が何処へ行っているのか……それらを知ることが出来た。
と言うことは、常に咲いている花壇を持つ家や施設は、思ったより多くの花の世話をしているのだろうか。
レミさんという探検家のことも聞くことが出来た、遺跡の探検をやっているらしいが冒険者ではないという。
冒険というより探検な探索か、秘境のようなところへと行くのだろうか?
桜花の国への護衛の仕事が終わったら、話を聞いてみたいものだとも思う。
探検先の遺跡に魔物が出るようであれば、冒険者の出番だし。
酒場でグリンさんと会い、双剣を返した。
双剣が無い間、グリンさんは人からトンファーを借りていたようだ。
トンファーの片方は借り物だというのに、激しい戦闘で行われたトンファーキックやトンファースープレックスの負荷に耐え切れず、壊れていた。
グリンさんと辛い酸っぱいエビのスープを食べながら話していると、ニコールという執事が店にやってきた。
元騎士で今はお嬢様大好き、片手が真っ赤に燃えている。
何だか紅の騎士だとかで元居た騎士団ではNo.3だったのはぼちぼち有名らしいが、真っ赤に燃えた手で握手をしてきた恨みも俺の中で有名となった。
正義とは邪でないこと、とグリンさんは言うが。
ペティットに戻って来ていた。
実際には今すぐにでも旅に出て、暫く帰ってきたくないような気持ちだったが
グリンさんに剣をお返しする為と、お金のことをなんとかする為(情けない)だ。
寄生体を体に入れたことと、ヴェロナージとペティットの往復なので、俺の手持ちのお金はすっからかんだった。
ペティットに戻ってそうそう、この懐事情を解決しなければすぐにでも食うに困るところで。
先日の嵐でドックから海に出てしまった船を曳き上げる仕事を終え(まだ海は相当に冷たかった)たところで、リタ婆さんに出会った。
アポミナリア(アポイントのある皆はリア充)の冬から避難してきたというリタ婆さんと再会を喜び合った。
俺が金に困っているという話をすると、この日取り組んでいた仕事を手伝わせてくれた。
面倒見の良いというのは、こういうことなのだろう。
リタ婆さんはショタ萌え……はともかく、カッコイイもんだ。
ギルドの人間になったら、という話になっても、お宝は現場に眠ってるんだ自分で行かなきゃつまらない、だなんてまさしく冒険者で。
俺の不景気の理由も深くは問わずに優しい言葉を掛けてくれるなど……若い頃は大層モテたに違いないことだった。
リタ婆さんとの調査依頼を終えて夜、俺はリール商会に来ていた。
ミハエルさんに借金をお願いする為だ。
いざ来てみたものの、非情に気の重たいことだったが……
ミハエルさんは事情を詳しく聞かぬままに、300万Gものお金を貸してくれた。
冒険者であるから返済の確約もなく、担保になるようなものも持たぬ俺に、
3月の桜花遠征の際の護衛を引き受ける……ただそれだけの条件で。
御曹司に産まれたからと言って、こうはなれるものではない。
亜人狩りのときと言い今回といい、借りを作ってばかりだ、到底返しきれないほどの。
………
……
…
リタ婆さんにミハエルさん、良い先達に恵まれた。
俺は正式に借金を申し込む際には、事情を全て話すことと、これを返済し終わるまではペティットを離れないことに決めた。
リール商会には他にもアーペとオデットさんという二人のお客さんが来ていて、どちらもエルフだった。
付け加えて言えば、どちらも少年少女然とした見た目ではあったが歳は俺より上のようにも感じられた。
香辛料を見に来たというアーペは、見た目の可愛さ(半ズボンショタ萌えhshs)とは裏腹に、中々意志の強そうな感じのある人だった。
魔法的な感知力に長けているのか、俺の中の寄生体のことを見ぬかれてしまった。
(得意な人には見抜かれると分かって本当に良かった)
俺はペティットの人にこのことを知られたくなかったので、この場でアーペに「寄生体を眠らせてくれないか?」と頼んだ。
寄生体とて生き物、眠らせて活動を弱めることも出来るように思えたのだ。
アーペは出来るかも知れないが、どうなっても後悔はするなと言うが、俺は迷いなく任せた。
結果としてそれは成功し、感知もよほどでなければされなくなった。
俺は手にちゅーして貰って内心舞い上がっていたところだったが、アーペの口の端には血が伺えた。
「こういうやり方」なのだと言っていたが、平気だろうか。
ご飯にでも一緒に行こうと思う、予定がつかなければアーペの家にドーナツセットを届けるまでだ。
もう1人、最近この街に来たというオデットさんにも俺の中の寄生体は察知出来たようだ。
非常にマズイことだが、秘密にしてねと言ったら了解してくれたようだった。
(本当に秘密にしてくれることを祈る。ダートラディアさん等の耳に入れば一発で分かることなのだ)
この街で出来た友人に、祝い事のお返しにマントを買いに来たそうだ。
冒険者か何かの友人なのだろうか?俺も知っている人なのかも知れない。
と思ったらレインさんだった。
魔防タイプの外套を纏っていたら、女の子からのプレゼントなんでしょーってからかって……
いや、からかいにならないから何も言わないでおこう。
とかく、街に来てすぐに誕生日を祝ってもらえる友人が出来て良いことだ。
楽しい滞在になればと思う。
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