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川で新しい戦い方を煮詰めていた。
俺はこのままではいけない。
そう思い考えだしたものだが、まだ実戦レベルではない。
そんなとき、バートレットさんが通りかかって少し話をした。
釣りが趣味だというバートレットさんは、息抜きに散歩をしながら釣りスポットを探していたのだという。
最近は忙しく、なかなかそういう時間が取れないと言う。
川について話をした後は、小さな贈り物の交換をした。
俺は普段通り、持っているプレゼントをバートレットさんに渡したのだが、バートレットさんはプレゼントを持っていなかった。
だが、用意はしてあるのだという、「リドル」という包みが掛かっているのだと。
面白い趣向だった、バートレットさんの出す「リドル」を解けば、包の中からプレゼントが姿を見せるように、プレゼントの在処へとたどり着けるというわけだ。
そしてそれはピエットさんのお店にあり、俺は無事にプレゼントを手にすることが出来た。
「リドル」で包み直すかどうかは自由にしていいと言われたが、機会があればそうしたかった。
(数日後、数人での交換になったのでそのまま渡したのだが)
闘技場で、アイザックとギルバートが手合わせをしていた。
同じ自警団員のアズライトさんが審判をやっていて、俺も含めて何人かの人が観戦をしていた。
このとき俺は、ギルバートのことを羨ましく思った。
変わっていくことが出来て、しかもそれを見てくれる人が居ることを。
俺も変わりたいと思ったらもう居ても立っても居られずに闘技場へと飛び出していた。
アズライトさんに相手をしてもらえることとなり(怪我をしていたのに!)、俺は修練としては少し勿体無いとも言えるが……短期決戦で、一気呵成に攻め立てる戦法で向かった。
それが最も勝利に近いと思ったからだ、アズライトさんの直接攻撃でない魔法は戦いが長引くほど此方を不利にすることが出来る。
息つく暇さえ与えないことが最も有利だと思った。
(こうやって勝ちに拘った戦い方を選んだことでアズライトさんや観戦していた人達は、もしかしたらドン引きだったかも知れないが)
俺はその手合わせの中で、実戦であれば一撃で戦闘不能になる場所を攻撃すると言ったが
実際のところ、そんなことが出来る自信はなかった。
余程、そうしなければ自分が死ぬという場面で無い限りは、冷静に急所を狙えるとは思えなかった。
その甘さがいつか身を滅ぼすことになるかも知れないと分かっていても、そうしたいとは思えないが
此れだって不確かなものだ、確固たる信念があってやっていることじゃない、嫌だからってだけで、必要に迫られればやるのだから……中途半端だ。
俺の中でまだ正しさについて答えが出ていない。
そんなときにルインと出会った、紛れも無い賞金首、此処で捕えなければいけない相手。
俺は自分を試したかった。
絶対に逃さないと心に決めて挑み、自分がそれを実行できるのかどうか。
そして勝つことが出来るのか。
オメガと戦ったときとは違うことを、結果として示したかった。
ルインが賞金首として生きている訳を聞き、挑んだ。(勝手なことだが、俺は理不尽と致命的が嫌いだ。ルインは生きるためと、探しもののためと言った。そして が夢だと)
だが、駄目だった。返り討ちにはされなかったが、まんまと逃げられてしまった。
(返り討ちにされなかったのは相手にその気が無かっただけだろう、水中の俺を仕留めるのはさほど難しいことではない)
バウンス・ノー・バウンスにも対処をされてしまった。
不完全な魔法では、この程度なのだと思い知らされたようなものだ。
俺は力を持つことが好きではない。
けれど、負けたくない。変わっていきたい。
それはこの道をもっと進んでみるのに十分な理由のように思えた。
自警団詰所で、ディアナさんと冒険者風の男(テレスという)が話をしていて、カルマートさんが諫言爺のポジションに納まろうとしていた。
(以前はディアナと呼び捨てにしていたのに、ちょっと合わないとディアナさんに戻るなんて俺はビビりすぎだと思う。基本的に同業者で同年代以下は呼び捨てにしている(つもり)だが……相手の雰囲気による)
何でも「蒼水晶の洞窟探索」の依頼について話しているところだったようだ。
ディアナさんとテレスはそれに参加するようで、情報交換をしているところだった。
探索自体は結構気楽なもののようだが、参加者のことは気にかかる。
俺は都合がつきそうになかった為、同じように依頼を請けた人物とその動きをディアナさんに教えてもらう約束をした。
"瘴気のしずく"についての情報と交換に。
(情報の価値に差があった場合にはピエットさんとこのお菓子もつけるということになったが)
テレスは悪知恵と逃げ足が取り柄と自称する冒険者(?)で、派手な色のツインテールが特徴の男だ。
腰から下げている刀のこともファッションと肘置きだと言う、相場より桁が2つも安く買ったそうだが、それって呪われてるんじゃないのか?
俺にはその刀の良し悪しはいまいち分からなかったが、不思議な力を秘めている……かも知れない。
洞窟ではどのような働きをするのか、楽しみでもある。
夜の広場には、白い服の男と生き物じゃないものが居ました。
戦いが始まりそうだったので、私はその場から離れました。
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「迷いの草原」という場所がある。
"昼間は普通の草原だが、夜間になるとコンパスや魔法や星による観測さえ狂ってしまう。目標物もないので堂々巡りをする羽目になる魔の地帯である。"
とされている地域だ。
俺はそのことを知っていて避けて通っていた筈だったのだが、この日はうっかりと、悩み事のせいか、迷い込んでしまった。
開き直って、悩み事をしながら本当に出られないものかどうか試してやろうと、秋の夜長を歩き倒すつもりで居たら……どうやら迷い込んでいたのは俺だけじゃなかったようで、リフェリスが"飛んで"きた。
強風に煽られて地面にべしゃったリフェリスのアホ毛を掴んで楽しみながら、何か悩み事でもあるの?と聞いてみたが、彼女はこの場所のことを知らなかったようだ。
リフェリスは最近お兄さんと同じ屋根の下になり、その仕事(錬金術)を手伝っていると言っていたが、今は調合をしているとのことだ。
その為の薬草採りに夢中になって時間を忘れるくらいなので、きっと楽しんでいるのだろう、とても良いことだ。
悩み事の話を微妙に避けながら、お菓子の話や仔猫ちゃんとペッラ・メル・バムに行ってきた話などをして。
恒例の「リフェリスのやりたいことってなんだろう」という質問を再び向けてみた。
返答は「こうなりたいという願望ならある」だったけれど、俺は色々と具体例をあげて聞いてみたのが良かったのか
料理が上手くなりたいとか、可愛い服作ってみたいとか、ゆっくり本を読んでいたいとか、ゆっくり寝てたいとか、結婚したいらしいと聞けた。
実に女の子らしい。
三千世界の鵺に、ちょっと静かにしててねとお願いして回ろうか。
と、目的のことが聞けたのにも関わらず。
俺がリフェリスの誕生日が5月だと言うことをすっかり忘れていて、落ち込ませてしまったのだった。
やってしまった……去年の夏、誕生日は5月下旬頃だと言うことは聞いていたのに。
(そのときも「きっと忘れているから1ヶ月前にアナウンスしてね」と言った記憶があるが、マジで忘れていたなんて)
普通の人は誕生日をすっかり暗記しているものなのか?それともカレンダーに書き込んでいるのだろうか。
新しいカレンダーに買い換える度に?新しく誕生日を書込み直しているのだろうか。
そして月が変わる頃になると、来月の誕生日の人を確かめて祝う予定を立てるのだろうか?
俺はどうも、自分の誕生日を知らないせいか、他人の誕生日のことも大切にしていないのかも知れない。
(よく考えると知り合いの誕生日を誰一人のものも思い出せない気がする。やばい、早く確認しないと。秋ごろに多かったような……)
そしたら逆に、俺に誕生日プレゼントだと言って(会って1年経てばまあ、何日か分からなくても誕生日は経過しているだろうという地獄の大公の完璧な論法により受け取らざるを得なかった)、ポーション?エリクサー?をくれた。
リフェリスが調合?錬成?したと言う。
それを飲むと、何故か俺の体にエルフっぽい特徴が現れて、1日ほどで治るらしいが少し驚いた。
本当にエルフになった訳ではないが、変装に使えるかもしれない。(ただし効果は安定しないというか、獣人のようになってしまう場合もあるらしい…)
だが、記念のプレゼントにイタズラをしかけちゃいけないよ。
で、悩み事。
俺の悩みは尽きることは無さそうだったことだし、リフェリスが草原で迷うに至った悩みを聞くかと話を振ったのだが……。
腹を括った、とはこういうことを言うのだろう。
普段ふわふわした調子なのが嘘みたいだったと言うか。
とまれ、それを引き出してしまったのも俺なのかも知れない。
あんな風にも仕切り直し、注意を惹かれてはいくら俺でも身構えてしまったようだ。
誕生日の件で、悪いことをしてしまったという気があってかなり真に受けてしまったのか。
結局俺は、不実だな。
この日、俺は一人の、心の師に出会う。
幼女少女に薔薇をあげても不審者扱いされない脅威のスキルを持った愛の伝道師……バッカス師匠に。
ここにバッカス師匠名言語録を掲載したいところなのだが著作権的な問題に配慮して思い留まるとして、
師匠の言葉は俺の胸に蟠る思いを綺麗に洗い流し、俺は自信と美しさを胸に可愛い仔猫ちゃん(リコス)に薔薇をあげることが出来た。
不審者扱いされることなく。不審者扱いされることなく!!
途中、ラビスという自警団員さんが此方を不思議そうな目(あくまで不思議そうな目)で見ていたが
最終的には愛に包まれ、バラを手にして職務に戻っていった。
愛の勝利だ(確信)。
師匠の愛に満ち溢れた言葉にリコスも希望を取り戻し、俺は輝き出す子猫を追いかけて楽しかった。
愛は凄いなって思いました。(小学生並みの感想)
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