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俺が到着した頃というのは、まさに嵐が去った後のことだった。
どうしたって、チャンスが来ない事はある。
けれど、全てに見放されている訳ではない、むしろ、海賊に攫われて未だ無事で居ることは幸運と言えなくもない。
海賊の妙な信条(女神がどうのこうの)に、感謝すら覚えるほどだ。
俺は俺に掴めるチャンスをものにするだけだ。
アカマガツのときだって、亜人狩りのときだって、ヴェロナージでだって、ずっとそうして来たじゃないか。
それでも俺は、パケットさんに八つ当たりすることを止められなかった。
闘技場で、BeaconのモラさんとBestia e la lunaのバレットさんが試合をすることになっていた。
俺は正々堂々が行われるものか観戦に行ったつもりだったのだけれど、2人が構わないと言うので
『ヘーゼルローズ』として参戦させて貰うことになった。ロゼッタさんが。
1試合でも多くこなした方が良いのは間違いないことだ、チャンスは無駄にできない。
結果としては負けてしまい、カードを1枚失うことになったが、それこそ授業料というもので。
2人は先日のこともあって卑怯な手を使いづらく、俺もベンチからじっくり見守る事が出来る絶好の機会だ。
降参は受け容れられるだろうし、危険なときも止めに入ることが出来る。
ロゼッタさんにとっては厳しい洗礼となってしまったかも知れないが、目指すは優勝、今この経験をすることに意味があると思った。
一方で、この試合を制したモラさんの気迫は中々のものだった。
Beaconとして何とか1勝をあげたい、その強い気持ちが最後の競り合いを征することに繋がったのだろうと思う。
バレットさんがそれに十分応えるとは思わなかったので、俺にとっては以外な展開ではあったが。
ドミニクさんのことで殺伐とした大会になるのかも知れないと思ったが、中々どうして面白くなりそうな予感がした。
闘技場でロゼッタさんと基礎体力作りのため走り込みをしていたと思ったらいつの間にか大変なことになっていた。
ロゼッタさん履いてない疑惑とか、「大会出場者を殺害に来たのさ!」と息巻く謎の刺客に襲われてみたり、テレスや龍翔氷ノ羽音(仮)の2人とかエロクンフー少年とかはりきりピエットさんとか居てもう何が何やら。
だが、謎の刺客は俺達にとって好都合。試合の前に、連携の確認が出来る良いチャンスだった。
連携は要確認ということが確認でき、ロゼッタさんが賞品のことも確認していないことも確認が出来た。
ロゼッタさんの大会への動機というものは、一体何なのだろう。
行きずり、遊興の為に参加を志したのだろうか、命を賭けて?
刹那的な考えに依るものなのかどうか、俺にはまだ分からなかった。
テレスにはセシルさんが探していた事を伝えた。
こんな番外編に出てくるほど実況として燃えているようであり、その上達ぶりを口にしたところ
何やら鼻水を垂らして泣いてしまった。
確かに一番最初は「本当に出来るのか?」という冷ややかな目を向けてしまったこともあったが……とまれ、短期間でとんでもない見直させ方をしてくれる奴だ。
ピエットさんが張り切っていたのはどうも、ネージュの為らしかった。
(昨日「リネージュ」さんが誘拐されたと報せてくれた張り紙は、「ネージュ」という名前に訂正されていた。)
大会に参加はしないけれど、大会に乗じてというか、参加者以外の者に迷惑を掛ける不届き者は許さんという訳だ。
今の俺は優勝を目指すことだけで精一杯で、何を言えるでも無かったけれど……こうして大会外から手を貸してくれようと言う人が多く居る事は、間違いなくあの子の力だと思うことだった。
龍翔氷ノ羽音(仮)の天道さんに、カードを1枚くれるように頼んでみた。
龍翔氷ノ羽音(仮)は既に決勝トーナメントへと出場する為の要件を満たしているものの、未だその権利を引き換えていなかった。
未だ、予選を楽しみたいという気持ちがある為だ。
だからこういったものは言ったもの勝ちだった、恐らく俺で無くとも天道さんはカードをくれただろう。
その気になればあの人は、そのカードを破り捨てることさえ出来るはずだ。
そのくらい、自信を持って予選に臨んでいる。
このタイミングに出会えた幸運を逃す手は無く、カードを1枚手に入れた。
楽に予選を突破する為ではない、俺達には多くのチャンスが必要だった。
沢山試合をしなければ、到底決勝トーナメントを勝ち抜くだけの力を付けられないだろうと分かっていたからだ。
予選だってすんなり勝ち上がれる訳もない、機会を得る為のカード、この1枚の価値は……きっと龍翔氷ノ羽音(仮)に比べて随分と重いものだっただろう。
呼ばれた気がしたので広場に向かったが、あんな急な報せを受けることになるとは。
ロゼッタさんとレミさんとアイニィさんが百合百合マッチョして遊んでいるところへ、俺はペア登録のあれこれを業務連絡に行った。
ペア名の確定とか日程調整とか打ち合わせとか、色々と。
ペア名を「ヘーゼルローズ」にしようと持ちかけて、それを受け容れられたりしていたところ、ほわちょ可愛い少年が広場に張り紙をしていった。
それは、リネージュさんだかイネージュさんだかと言う人がサメ獣人に誘拐されたという張り紙で。
誘拐というのはそう珍しい事ではない。
依頼があったり、誘拐された者や誘拐した者と縁あって初めて身近な事として感じられる。
俺も此の時はまだ、よくある誘拐事件のひとつくらいにしか思っていなかった。
ので、引き続き4人で馬鹿なことを喋っていたところへジュリエッタさんや、セシルさんがやってきて。
レミさんは何故だかジュリエッタさんを姐さん扱いしていた。
まるでジュリエッタさんが自分のオジキの嫁であるかのように……って、そういうことなのか?
とまれ、皆が皆というか、レミさんに対して気になる事として
レミさんが嫁と呼び慕うコールさんが、ルインという賞金首とペアを組んで"Showdown"に出場していることについてだ。
此れについて、何か知っているのかどうか? 2人の様子を知るものなら誰もが気になることだろう。
聞けば、コールさんの事を信頼しているから心配をしていないようだった。
彼が判断して行っていることなら大丈夫、もし危険なことであろうと、コールさんはヤワな男ではないと。
更に言うなら、ルインさんの事も「悪い奴だが悪いやつではない」という風な事を言っていた。
それは信頼なんだろう。
しかし感覚的過ぎるような気がした。
ドライな価値観の上に生きているからこそ出来るからなのだろうか?否、彼女が大切に思う人達に対しては決してドライではないように思える。
裏切られないようにと人を中々信頼しないことと、裏切られても良いから人を信頼していくこと。
どちらが良いとも言えないが、レミさんらしい事だとは思った。
馬鹿なことだと思う反面、羨ましくもある。
そうやって生きた方が豊かな人生を歩めるようにも思えるからだ。
しかし、信頼しているからと言って不安が全くない訳でも無い。
そういったところは俺も含めて他の人と同じだということを、忘れないようにしよう。
何かを達成しようとする場合に於いて、目標を口に出したり、努力を人に見せたりするかどうかは、当人の美学の問題だ。
目標を秘する者は「失敗したくない」との思いが力となるかも知れないし、表に出す者は失敗を厭わずに何度も挑戦できるのかも知れない。
俺が、優勝することこそが目的と言ったときに向けられた視線に、俺はつい言い訳気味に言葉を繋いでしまった。
優勝したいという気持ちが決して美しいものでは無いような気がしたから、胸を張れなかった。
一度はロゼッタさんに優勝の理由を求めようとしたが、向け続けられる視線に、それが誤魔化しであることを直ぐに悟らされる。
そして、満足したいのだと言い換えた。
この人はいつも、無意識にだろうが、俺を本心へと導く。(ただ俺がこの人に対しては誤魔化すと怖いと思っているのもあるだろう)
人間にとって、満足や納得と言ったものはとても重要だ。
自分が満足できる方へと行動出来る者と、そうでない者がいる。
そういった点では、レミさんは本能的にそちらへ向かっているのかも知れないなと思う。
ジュリエッタさんはその点因果な人だ……果たして返って来ているものに満足しているのだろうか、そういった事も表に出さない人だと思えば、ずっと凄いことだ。
(それでいて、満足しようと足掻く者に対しては羨ましく思う?因果だ。俺が優勝するところを見れば自分も足掻きたくてウズウズするだろう。俺が変わりたいと思わされたことの仕返しをしてやるぞと、この時思った。)
とまれ、何をかレミさんにコールさんの事を聞かねばと思っていたようだったけれど、一先ず満足の行く結果だったようなのを見ては思うことだった。
セシルさんはどうやら、以前話したことについて、前進したと言っていた。(返答は「少し考えさせて欲しい」だったようだが、感触は悪くなかったのだろう。ていうかライチさんのことだった)
それは何とも、セシルさんほどの男気を以ってすれば前進しない事もあるまい……と言うのはともかく、やはり話してみるものだ、正面から誠実に当たることに勝るものはない。
テレスに小さな贈り物の日に貰ったもののお返しをしたいから探しているとも言っていた。
テレスは実況席で自分の身に危険が及ぶことをいつも気にしていたから、身を守るものなんか良いんじゃないかと言ってみたが、男が男に対して渡す物に男がアドバイスするのは何か妙な図だった。
実際には約束への後入りもホモも発言色被りもプロフ番号ミスもHTMLタグ打っちゃったりすることもステルスキャラもアンカーミスも全然気にしません。
ネタはネタとして、都一郎Pとの約束だよ!
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